豪ワイン最大輸入国の中国、新型コロナウイルスの真相究明で豪に警告

　新型コロナウイルスの真相調査を求めるオーストラリア政府に対して、中国政府高官が反発して、オーストラリア産ワインと牛肉のボイコットを示唆した。中国はオーストラリアワイン最大の輸出市場。包括的な自由貿易協定（FTA）を結んで友好関係を保ってきた両国の間に緊張が高まっている。

　オーストラリアのモリソン首相は、23日の記者会見で、米国のトランプ大統領、ドイツのメルケル首相と足並みをそろえて、中国での新型コロナウイルスの起源と拡大について、独立した調査を求める必要があるという考えを表明した。

　これに対して、オーストラリア駐在の成競業（Cheng Jingye）中国大使は、経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューに対して、「疑問や非難の応酬は、パンデミックと闘う国際的な努力を損ないかねない」と語り、「決めるのは国民だ。一般市民は『なぜオーストラリアワインを飲まなければいけない？なぜオーストラリア産牛肉を食べなければならないのか？』と言うかもしれない」と、経済的な圧力を示唆した。

　中国側の反発は、オーストラリアにとってプレッシャーになっている。中国はオーストラリアワインの最大の輸出市場だ。ワイン・オーストラリアによると、3月末までの過去12か月間に、オーストラリアは12億豪ドルのワインを、香港、マカオを含む中国に輸出した。

　中国とオーストラリア間の包括的な自由貿易協定（FTA）に支えられて、オーストラリアワインは中国向け輸出を増やし、中国国内の輸入ワインのシェアは35.5%に達し、フランスの28.5%を追い抜いた。

 

　オーストラリアのワイナリーは、香港や中国本土でのマーケティングに力を入れている。ヴィネクスポ香港2018では、ワイン・オーストラリアが大規模なブースを開いた。香港のレストランやワインショップでは、多くのオーストラリアワインを目にする。

　中国の大手ワイン企業「Weilong Grape Wine Company」（威龍葡萄酒）が、オーストラリアで中国向けワインの醸造を始めたり、実業家がオーストラリアで投資するなど、両国の関係は深まっている。中国からオーストラリアの大学への留学生も多い。

 

　新型コロナウイルスに関連して、シャンパーニュのドゥーツの関係者やプロセッコのボッテガ社長が、中国に批判的な意見を表明するたびに、中国国内からボイコットの動きが起きて、陳謝に追い込まれてきた。今回の事態は、政府間同士の問題のため、事情は複雑だ。