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ボルドーの格付けシャトー主体で造る「ユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー」(UGCB)とネゴシアン団体「ボルドー・ネゴス」は21日、2019プリムール試飲会を夏の終わりまでに開催する可能性を検討していると発表した。衛生対策を優先して、フランスの外出禁止令が解除される予定の5月11日までに、計画の詳細を固める。
毎春恒例のプリムール試飲会は、3月30-4月2日までに予定されていたが、新型コロナウイスルの感染症拡大に伴って延期された。フランスとほかの国で新型コロナウイルスの制限解除が段階的に進んで、様々な活動が再開されている状況を受けて、1回限りの試飲会プログラムを提供する可能性が出てきた。
UGCBは可能な限り衛生状態を確保して、ボルドーと世界のほかの都市での試飲会を主催するとしている。接触制限と健康を保持する規則を尊重して、小売商、評論家、ジャーナリストの小グループを、いくつかのプライベート・セッションで迎えるという。
当局の許可が得られれば、日程と会場が5月11日までに決定される。初夏の時期が想定されている。
UGCBのロナン・ラボルド会長は「現在の最優先事項は感染症との戦いだ。プログラムは祝典ではなく、プロフェッショナルで親密なものになる。困難な時の後に、我々の友人とパートーナーを招待できるのを望んでいる。新たな催しは制限解除の進捗を十分に考慮する」とコメントしている。
マクロン大統領は13日のテレビ演説で、外出禁止令を5月11日まで延長する考えを表明した。レストラン、カフェ、ホテルや遊興施設は営業禁止のままだが、一斉休校していた学校は段階的に再開する予定。特別なイベントは7月まで開けないと発表した。
2019ヴィンテージは、デカンターのボルドー担当記者ジェーン・アンソンら現地に在住するジャーナリストを除いて、だれも試飲していない、アンジェリュスやラフルールなどトップシャトーからは、栽培や醸造の情報とともに、シャトーの試飲コメントが送付されてきている。
先物取引の商戦を行うには、ワイン商と評論家の試飲が欠かせない。ボルドーのワイン産業の中核を担う格付けシャトーやネゴシアンは、前年に収穫されたブドウから造るワインを先物で販売して、キャッシュフローを回転させる前提で、ビジネスを進めている。
資金力の弱いネゴスや小規模シャトーは、プリムールがはるか先まで延期されると、資金がショートするリスクを抱えている。2019のプリムール試飲会を開ける時期は、バカンスの8月、収穫から醸造で忙しい9月から11月、クリスマス前の12月を除くと、6月か7月しか残されていない。
さらに、世界的な不況もボルドーのワイン産業を直撃している。中国、米国、英国など主要な市場で、ホスピタリティ産業がダメージを受けている状況で、ボルドーワインの売り上げも減少している。
ヨーロッパやアジアの見本市が相次いで中止や延期される中で、時期尚早とも思える今回の日程発表には、そうした経済的な背景が関わっていると見られる。
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