クリスタル、長期熟成した1995発売へ

　シャンパーニュの大手メゾンが、クロから造る特別なキュヴェや長期瓶熟成したプレスティージュ・キュヴェを発売する動きが盛んになっている。

　ルイ・ロデレールは、クリスタルの1995年を今年末から来年にかけて少量発売する。クリスタルの古いヴィンテージを発売するのは初めて。醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨン氏が英ドリンク・ビジネスに語ったところによると、1995年は10年間の瓶内熟成を経てデゴルジュマンされた後、10年間の熟成を経ている。クリスタルの生産量の5％はカーヴで保存されている。

　澱とともに長期間熟成させると、舌触りの複雑さ、丸さ、甘みが生まれるため、1リットル当たりのドザージュは通常より2グラム少ない7グラムですむという。ドン・ペリニヨンのエノテークやボランジェRDと違って、デゴルジュマン後の瓶内熟成も経てから発売するのは、重さにつながる酵母の香りの強さを避けるため。95年は若さと力強さのバランスがいいという。

　レカイヨン氏はかねてから「クリスタルを熟成させるのは所有者の仕事」という考えだが、近年のデゴルジュマンまでの瓶内熟成期間は長くなっていて、96年以降は4年間から7年間になっている。

　ポメリーは2003年ヴィンテージから単一畑レ・クロ・ポンパドゥールを発売する。ランス市内の石垣に覆われた25ヘクタールの畑で、主要3品種のブレンド。レ・クロ・ポンパドゥールの発売は2度目で、最初は2011年のマグナム。ヴランケン・ポメリーのオーナー、ポール・フランソワ・ヴランケン氏が、LVMHからポメリーを買収した際に単一区画のキュヴェ生産を指示。2002年のブドウを使ったものがノンヴィンテージとして発売された。ポメリーのサイトでの価格は399ユーロ。

　2003年はマグナム2000本を生産し、年内に発売の予定。英国で250ポンドの予定。

　ランソンも初の単一畑クロ・ランソンを年内に発売予定。2006年のシャルドネを使い、初めて225リットルの小樽を使って発酵を行った。ランス市内の1ヘクタールの畑から。引退が近い醸造責任者ジャン・ポール・ガンドン氏の最後の作品となる。ランソンは2006年にボワゼル・シャノワーヌ・シャンパーニュ・グループから、ランソン-BBCが購入した。

　ジャカールはプレスティージュキュヴェのアルファ2005年を最近、発売した。かつてのノンヴィンテージのノミニーからラベルも変更した。

　クロやプレスティージュ・キュヴェに力を入れる姿勢は、クリュッグがアンボネイの小さな畑から造るクロ・ダンボネイ1995を発売したころから加速し、ブランドイメージ強化の手段として、取り組むメゾンが増えている。