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低アルコールワイン論争、パーカーVSボネ

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 世界的な影響力を誇る米国の評論家ロバート・パーカー氏が、2月19日、カリフォルニア・ナパヴァレーで開かれたシンポジウムで講演し、高いアルコール度の「果実爆弾」を好むという見方に反論し、低いアルコール度のワインが流行している動きを批判した。

 66歳のパーカー氏はメドウッド・リゾート・ホテルで開かれた「ワイン・ライターズ・シンポジウム」で、ジャーナリストらに対して基調講演を行った。LAタイムズ紙やサンフランシスコ・クロニクル紙によると、「私が引退するとき、ワインについて執筆する職業が衰えるのは見たくない。優れた才能が大勢ここにいる」とあいさつ。雑誌や新聞でのワインコラムが大きく減っている現状を憂慮し、「専門的だがお手ごろな、教育的な映像ストリーミングが大きな方向性だ。本当に成長している市場はアジア」と語った。

 出席者から出た「パーカーの好みに合ったワインとは何か」という質問に対して、パーカー氏は「1960年代のボルドーでエミール・ペイノー教授は大きな影響力があり、批判者が『ペイノディゼーション』という用語を使い始めた。パーカリゼーションはそこから派生した。果実爆弾やオーク爆弾のみを好むと決め付けた単純化だ」と回答。ワインアドヴォケイトが25ドル以下のワインを大量に紹介していると説明し、妻パットと15ドルのプティ・シラーを飲み、ステーキを食べる瞬間は、「それが私の人生で最高のワイン」とした。

 一方、サンフランシスコ・クロニクル紙のワイン編集者ジョン・ボネ氏は、パーカー氏が1月にワイン・アドヴォケイトで発表したコラムについて質問をした。コラムは自然で、低アルコール度のワインを造る「低アルコール運動」について「アンチ・カルフォリニア、アンチ新世界の動き」と述べた批判的な内容だった。

 パーカー氏は「低いブリックス(糖度)でブドウを収穫する方程式は間違い。アルコール度を低く保って、エレガントといっても、それはただのアルコール度が低いだけのワイン」と強調し、「アルコール度を判断基準として使ったことはない。熟度の低い果実を収穫しても、テロワールやブドウをフルに表現できない」と説明。具体例として、パーカー氏が高く評価してきたサンタ・バーバラのオーハイのアダム・トルマック氏が低いアルコール度のシャルドネに方向転換を図った際に、「香りがなく、酸が高すぎる。人々は欲しない」と指摘したことを明らかにした。

 ボネ氏は低アルコールワインを推進する中心的なジャーナリスト。ワインの適正なバランスを探る生産者、ライター、ソムリエらで作る「IPOB」(イン・パーシュート・オブ・バランス」のメンバーでもある。サンフランシスコ・クロニクル紙のウェブコラムで、パーカー氏の発言について、サンディやアルノ・ロバーツにワイン・アドヴォケイトが高得点を与えたと指摘。「オーハイが早摘みしたシャルドネのクロ・ペプ2005から全く逆の結論を得た」と述べて「テイストは進化する」と結論づけた。

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