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ワイン・サーチャー」が発表した「世界で最もお買い得なピノ・ノワール」のトップは、ニュージーランド・ネルソンの「グリーンホフ ホープ・ヴィンヤード 2015」だった。2017年に現地で試飲した際も好印象だったが、その際は日本に輸出されていなかった。今は日本でも手に入る。試飲して、改めてお買い得度を思い知った。
ニュージーランドのピノ・ノワールの最大産地はマーティンボローで、セントラル・オタゴがこれに続く。ネルソンは、ピノ・ノワールに限らず、ちょっと知名度の低い産地だ。生産者も数十軒。南島の北端に位置し、東にはマーティンボローが広がる。三方が山に囲まれ、日照に恵まれ、北からタスマン湾の海風が吹き付ける。昼夜の温度が大きく、フェノリックスが成熟する一方で酸が保たれる。
ワイン産業が発達したのは1970年代以降だ。基本的な土壌は沖積した砂利土壌で、海沿いはシルト・ロームが交じる。水はけがよい。アロマティック品種とシャルドネ、ピノ・ノワールに優れている。隣接するマールボロよりエレガントに仕上がる。
グリーンホフはオークランド暮らしのアンドリュー・グリーンホフとパートーナーのジェニファー・ウィーラーがネルソンに引っ越してきて、1990年に始めた。周囲の農家や醸造家からワイン造りを学び、2008年からオーガニックに転換。ニュージーランドのBio-Gro(ビオ・グロ)の認証を受けた。ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、リースリング、ピノ・ノワールなどを栽培している。畑は内陸部の台地ワイメア・プレインズに広がり、砂利質の下層度を粘土ロームが覆っている。
輸入されている4種を試飲した。いずれもフレッシュで、明るい果実があり、マールボロよりも丸くてアプローチャブルなスタイルに仕上がっている。
「グリーンホフ・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン 2017」(Greenhough Vineyard Sauvignon Blanc 2017)はグラッシーで、パッションフルーツ、イチジク、芝生の目、生き生きしていて、軽やかでまろやか。レモンの皮、ほろ苦みがあり、リフレッシュングさせられる。マルーボロより優しい味わい。2400円は素晴らしいお買い得。89点。
「グリーンホフ・ヴィンヤード ソーヴィニヨン・ブラン ホープ・ヴィンヤード 2016」(Greenhough Vineyard Sauvignon Blanc Hope Vineyard 2016)は樽で発酵し、8か月間の熟成。ツルリとした口当たり、熟したライム、グレープフルーツ、丸い石、シルキーなテクスチャー、オークが柔らかいタッチと厚みを与えるミディアムボディ。浮遊感のあるフィニッシュ。2.7haのBioGro認証畑から。コスパの高い3600円。90点。
「グリーンホフ・ヴィンヤード リースリング ホープ・ヴィンヤード 2014」(Greenhough Vineyard Riesling Hope Vineyard 2014)はステンレスタンク主体で、30%は中古樽で発酵。りんご、レモンカード、ドライハーブ、ほのかにオイリーなテクスチャー、11.5 g/L の残糖とかすかなフェノリックスがふくらみとまろやかさをもたらしている。きめ細かな酸、リニアでキレのいいフィニッシュ。1976年に植えた樹を含む0.6haの畑から。2500円はケース買いに値するグレート・ヴァリュー。90点。
世界で最もお買い得なピノ・ノワールは単一畑のホープ・ヴィンヤードだが、輸入されているのはホーム・ヴィンヤードとモリソン・ヴィンヤードをブレンドしたベーシックなタイプ。それでも十分にお買い得だ。
「グリーンホフ・ヴィンヤード ピノ・ノワール 2016」(Greenhough Vineyard Pinot Noir 2016)はジューシーでスモーキー、砕いたストロベリー、ダークチェリー、シナモン、軽やかだが芯のあるタンニン、しなやかなテクスチャー。穏やかにエキスを抽出し、うまみ豊かな味わい。アーシーで、滋味豊かなフィニッシュ。控えめでバランスのとれた味わい。毎日でも飲みたくなる。3350円はヴァリュー。ブルゴーニュファンが見逃すには惜しい。90点。
ワイン・サーチャーは、評論家の集約された得点を価格で割る方式で、世界で最もお買い得なピノ・ノワールを選んだ。ニュージーランドの他の産地、オーストラリア、南アフリカ、カリフォルニア、そしてブルゴーニュの手頃なピノの値段をざっと思い浮かべても、グリーンホフがお買い得なことはすぐわかる。
同じネルソンのヌイドルフのムーテリー・ピノ・ノワールも、値段はグリーンホフより高いが見逃せない
輸入元はモトックス。
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