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ワインプロや愛好家の必携本「ワールド・アトラス・オブ・ワイン」第8版が出版された。6年ぶりに出た世界のワイン地図は、変化の速いワイン産地に対応して、大幅に刷新された。
ワールド・アトラスの創刊はパリ・テイスティングより前の1971年。改訂が繰り返されてきた。編者はヒュー・ジョンソンとジャンシス・ロビンソン。第5版からジャンシスが主体となり、右腕のジュリア・ハーディングMWが編集で大きな役割を果たしている。15か国語に翻訳され、世界で470万部が販売されてきた。第8版には世界中の68人の専門家が寄稿して、最新の事情にアップデートしている。
今回は導入部が充実し、最新の問題や潮流が織り込まれている。「気候変動」の項はシャトー・ヌフ・デュ・パプの1945年からの収穫日の変化を盛り込み、「害虫と病気」の項ではトランク病やピアス病が紹介されている。ブドウ畑の面積や価格、生産コスト、高級ワインの取引など、産業的なデータも加わった。
ワールド・アトラスは改訂のたびに、新しい産地が加わり、全体のページ数の中でバランスをとって、既存の産地のページも増減がある。
南米にブラジルとウルグアイが加わり、レバノンとイスラエルもそれぞれ1ページを与えられた。ギリシャは1ページ増えて4ページとなった。カリフォルニアは、ブルゴーニュ品種が優れる冷涼なサンタ・バーバラを含むセントラル・コーストが充実した。セントヘレナに1ページが与えられ、ラザフォードとオークヴィルは合わせて1ページに縮小した。
アジアでは、中国が1ページ増えて3ページになったが、日本は2ページで変化がなかった。山梨が産地として紹介されているが、注目される長野や北海道西北部の地図は掲載されず、次回を待ちたい。日本の項の筆者は大橋健一MWと藤本良子さん。
トータルで416ページ。22の新たな地図が加えられて、地図は計230となった。
69歳のジャンシスは、今回の出版に関連して、ワイン・サーチャーの取材を受けて、「メインストリームではないが、人々が楽しめると思うワイン」という質問に以下のワインを挙げている。現在のトレンドを示す選択で興味深い。
・スペインの古木のガルナッチャ
・アゾレス諸島(ポルトガル領)の白ワイン
・辛口のドイツ・リースリング
・ギリシャの白ワイン
・ジュラのトゥルソー
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