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世界最優秀ソムリエコンクールは体力、知力、精神力などすべてを駆使するオリンピックのように高次元の戦いだ。残り1か月を切り、各国選手が独自のトレーニングで追い込みに入っている。フランス代表のダヴィッド・ビローは、心理学者を雇って最終調整している。
先月亡くなった英国代表のジェラール・バッセは、2010年のチリ大会で、心理学者、記録係、同僚のソムリエからなるチームを結成して、大会に備えた。コメントを記録し、ソムリエから質問を受け、心理学者からメンタル・コントロールのアドバイスを受ける、スポーツ競技並みの万全のトレーニングで勝利をものにした。
英タイムズ紙によると、フランスのソムリエ協会は今回、心理学者、演劇指導者、運動コーチを雇って、ビローの調整を行っている。1992年に優勝したフィリップ・フォール・ブラックによると、心理学者はストレスのコントロールを助け、演劇指導者は実技の向上の力になるという。
ビローはフランス国内選考会で、世界の飲料に関する50の英語の試問、テイスティング、サービス実技を行い、5人の候補から代表に選ばれた。「アルページュ」「オテル・クリヨン」などを経て、2011年からマンダン・オリエンタル・パリのシェフソムリエ。2016年のアルゼンチン大会では2位に終わった。
フランスのチームは、優勝経験者のフィリップ・フォール・ブラックとオリヴィエ・プシエを擁し、隣国ベルギーで開かれる今回の大会で、2000年のプシエ以来19年ぶりのフランス勝利に向けてトレーニングを強化している。
近年は、2016年のジョン・アルヴィッド・ローゼングレン(スゥエーデン)、2013年のパオロ・バッソ(スイス)など、北ヨーロッパ代表の活躍が目立つ。本場フランスが巻き返しを図りたいところ。フォール・ブラックは「我々南ヨーロッパの人間はワインを情緒的な用語で語りがちだが、国際審査員はより技術的な言語を欲する傾向にある」とコメントしている。
日本代表の森覚さんは最終調整で、ニュージーランドの未知のレストランで働いて、英語のサービスに磨きをかけた。石田博さんが中心になって、森さんと岩田渉さんの最後の調整を行っている。3月10日から、ベルギー・アントワープで開かれる今回の大会には、英国代表のエリック・ツヴィーゼル、前回3位のアイルランド代表ジュリー・デュプイ、スウェーデン代表のフレデリック・リンドフォーら強豪がひしめている。
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