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カリフォルニアワイン協会(California Wine Institute=CWI)の新事務所が業務を始め、扇谷まどかさんと手島孝大さんが共同代表に就任した。6日に都内ホテルで行われた記者会見では、「バイ・ザ・グラス・プロモーション」の全国拡大や、デジタル・マーケティングに力を入れる方針が発表された。日本はカリフォルニアワインの4番目の輸出市場だが、サンフランシスコの本部のプライオリティ(優先度)は第二階層に格下げされた。予算が削減される中、関税撤廃の進む競争国を相手に、新体制がどのようなパフォーマンスを発揮するかが注目される。
扇谷さんは日本航空のロサンゼルス支店などを経て、2007年に「The Opener」を設立した。飲食店経営とシャンパーニュの輸入を行っている。手島さんはワインオーストラリアのアジア太平洋地域代表を10年間務め、日本を含むアジア各国でプロモーションや教育活動を行ってきた。
協会本部が今年1月、前任の堀賢一さんの後任となる業務委託先を募集し、クリエイティブエージェンシー「日本アド」を委託先に選んだ。2人の共同代表の下で新たなチームが発足し、東京・西早稲田にオフィスを置いて2日から業務を始めた。
2人は2018年7月に始まる会計年度の活動予定の中で、力を入れる5本の柱を説明した。1995年から続く「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション」については、QRコードなどデジタルツールを活用し、対象を首都圏と関西から全国に拡大する。業界向け試飲会「カリフォルニアワイン・グランドテイスティング」は、10月29日に東京・品川の「関東閣」で開く。ウェブサイトやSNSコンテンツの充実などデジタル・マーケティングを強化する。このほか、マニアと一般消費者向けの教育活動、ナパヴァレー・ヴィントナーズや観光局との連携も強める。
ワイン・インスティテュートによると、カリフォルニアが97%を占める米国産ワインの2017年の輸出額は15億3000万ドルに達し、3億8000万リットル(4220万ケース)だった。日本への輸出額は9400万ドルで、EU、カナダ、香港に続く4番目の輸出市場。5番は中国で7900万ドル。カルトワインに代表されるハイエンドワインが強いため、金額は12.1%増加したが、一方で関税(1リットル当たり45円)の低いバルクワインの輸入量が増加し、15%の関税がかかる瓶詰めワインの輸入量は20%減少した。
米国がTPPから離脱したため、高い関税のかかる低価格帯のカリフォルニアワインは苦境に立たされている。日本の輸入量トップのチリワインの関税は2019年に撤廃され、EUワインもEPA交渉で2019年に関税が撤廃される。オーストラリアワインは2021年に撤廃予定で、競争が激化している。日米の通商交渉の行方は不透明で、日本側は農産品市場開放につながる二国間のFTAに消極的なため、すぐに状況は変わらない。
そうした状況の中で、ワイン・インスティテュートには成熟した日本市場から、成長の著しい中国市場に力点を移す動きが見られる。1000ワイナリーが加盟するワイン・インスティテュートの中で、ワイン輸出プログラムに参加するワイナリーに送付される「カントリー・プライオリティ・マトリックス」によると、日本は2017年12月、「ティア1」(第一階層)から「ティア2」(第二階層)に格下げされた。(図参照)
ティア1はカナダ、英国/アイルランド、中華圏(大陸、香港、台湾、マカオ)。ティア2は、日本のほかメキシコ、韓国、スウェーデン、デンマーク。その理由は発表されていないが、中国に輸出されるカリフォルニアワインは過去10年間で450%増えた。成長のスピードの早い中国にシフトした例は、ボルドーやオーストラリアの生産者団体など過去にも多くの例がある。
この”格下げ”によって、日本に輸出するワイナリーのモチベーションが下がる懸念がある。格下げに伴って、カリフォルニアワイン協会の予算も従来より削減されたのは間違いなく、それも協会の力を借りて販売を拡大したい日本の輸入業者には不利な材料となる。
2人の共同代表は自身の業務も抱えている。手島代表はオーストラリアで暮らし、イベントの際などに来日する。「2人とも60%の力でワイン・インスティテュートの業務に当たる」(手島代表)という。新体制がどのようなプロモーションを打ち出して、パフォーマンスを発揮するかが注目される。
扇谷さんは日本航空のロサンゼルス支店などを経て、2007年に「The Opener」を設立した。飲食店経営とシャンパーニュの輸入を行っている。手島さんはワインオーストラリアのアジア太平洋地域代表を10年間務め、日本を含むアジア各国でプロモーションや教育活動を行ってきた。
協会本部が今年1月、前任の堀賢一さんの後任となる業務委託先を募集し、クリエイティブエージェンシー「日本アド」を委託先に選んだ。2人の共同代表の下で新たなチームが発足し、東京・西早稲田にオフィスを置いて2日から業務を始めた。
2人は2018年7月に始まる会計年度の活動予定の中で、力を入れる5本の柱を説明した。1995年から続く「カリフォルニアワイン・バイザグラス・プロモーション」については、QRコードなどデジタルツールを活用し、対象を首都圏と関西から全国に拡大する。業界向け試飲会「カリフォルニアワイン・グランドテイスティング」は、10月29日に東京・品川の「関東閣」で開く。ウェブサイトやSNSコンテンツの充実などデジタル・マーケティングを強化する。このほか、マニアと一般消費者向けの教育活動、ナパヴァレー・ヴィントナーズや観光局との連携も強める。
ワイン・インスティテュートによると、カリフォルニアが97%を占める米国産ワインの2017年の輸出額は15億3000万ドルに達し、3億8000万リットル(4220万ケース)だった。日本への輸出額は9400万ドルで、EU、カナダ、香港に続く4番目の輸出市場。5番は中国で7900万ドル。カルトワインに代表されるハイエンドワインが強いため、金額は12.1%増加したが、一方で関税(1リットル当たり45円)の低いバルクワインの輸入量が増加し、15%の関税がかかる瓶詰めワインの輸入量は20%減少した。
米国がTPPから離脱したため、高い関税のかかる低価格帯のカリフォルニアワインは苦境に立たされている。日本の輸入量トップのチリワインの関税は2019年に撤廃され、EUワインもEPA交渉で2019年に関税が撤廃される。オーストラリアワインは2021年に撤廃予定で、競争が激化している。日米の通商交渉の行方は不透明で、日本側は農産品市場開放につながる二国間のFTAに消極的なため、すぐに状況は変わらない。
そうした状況の中で、ワイン・インスティテュートには成熟した日本市場から、成長の著しい中国市場に力点を移す動きが見られる。1000ワイナリーが加盟するワイン・インスティテュートの中で、ワイン輸出プログラムに参加するワイナリーに送付される「カントリー・プライオリティ・マトリックス」によると、日本は2017年12月、「ティア1」(第一階層)から「ティア2」(第二階層)に格下げされた。(図参照)
ティア1はカナダ、英国/アイルランド、中華圏(大陸、香港、台湾、マカオ)。ティア2は、日本のほかメキシコ、韓国、スウェーデン、デンマーク。その理由は発表されていないが、中国に輸出されるカリフォルニアワインは過去10年間で450%増えた。成長のスピードの早い中国にシフトした例は、ボルドーやオーストラリアの生産者団体など過去にも多くの例がある。
この”格下げ”によって、日本に輸出するワイナリーのモチベーションが下がる懸念がある。格下げに伴って、カリフォルニアワイン協会の予算も従来より削減されたのは間違いなく、それも協会の力を借りて販売を拡大したい日本の輸入業者には不利な材料となる。
2人の共同代表は自身の業務も抱えている。手島代表はオーストラリアで暮らし、イベントの際などに来日する。「2人とも60%の力でワイン・インスティテュートの業務に当たる」(手島代表)という。新体制がどのようなプロモーションを打ち出して、パフォーマンスを発揮するかが注目される。
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