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飲むたびに寂しさ、ルロワ98は今が飲み頃

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 ブルゴーニュ赤の1998年が飲み頃に入っている。

 デュガ・ピィのシャルム・シャンベルタンに続いて、ドメーヌ・ルロワで確信を得た。90年代で今、最もいい状態ではないか。造り手と畑によるけれど。

 本を仕上げたお疲れ様飲み会。こういうときは、シャンパーニュに続いて、ルロワを開けるときが多い。今回は素直にドメーヌのあるヴォーヌ・ロマネ・オー・ジュヌヴリエール1998を飲んだ。10年近く前に、ロンドンのブローカーから55ポンドで購入した。今では市場に存在しないだろう。何せ生産量は1・23ヘクタールの畑から 1700本だから。プルミエクリュノクロ・デ・レアのすぐ下に位置する。

 熟成の頂点の一歩手前の最も楽しめる状態だった。飲んでいるうちに開いてくる。オレンジの皮から、枯れ葉、湿った土、コーヒーなど華やかな熟成香に発展していく。継ぎ目のないタンニン。口の中で踊るように動く。余韻はグランクリュほどでないが長い。

 生き生きとしていて、後半にドラマが広がる。口に含んでノドを滑り落ちるまでの5秒が1分間にも感じる、スケールの大きなワインだ。決して、プルミエクリュの複雑さがあるわけではない。クロ・デ・レアと比べても。だが、豊かさ、ニュアンス、余韻の長さは上回る。この物語を経験したいがためにルロワを開けてしまう。魅入られたら離れられない。

 だから、ルロワのワインを飲み終えると、一抹の寂しさを覚える。もう少し置いて飲んだら、別の表情を見せたのではないか。これで地上から貴重な1本が消えてしまった……世界が広しといえども、こんな感慨を抱くのはルロワくらいだ。DRCはもう少し本数があるから。ロマネ・コンティを除いては。

 ルロワのワインは麻薬だ。マグナムは見たことがないが、もしあったら、最高の贅沢だろう。永遠に飲み続けたい気分にさせられる。

 さんざんルロワのワインを一緒に飲んだ和田利弘さんの焼き鳥も、いつも通り、最高で微妙な火通し。肉汁あふれるソリと森の香りシイタケ、血の香りレバーはピノ・ノワールに合うと改めて思った。

(2013年12月 東京・銀座の焼き鳥「バードランド」で)
ドメーヌ・ルロワ ヴォーヌ・ロマネ・オー・ジュヌヴリエール 1998
購入:英国のブローカーから55ポンド
週に一度は飲みたい度:95点

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