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テロワール解きほぐす「ブルゴーニュのグラン・クリュ」

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 ブルゴーニュに強い評論家レミントン・ノーマンが、世界の愛好家が捜し求めるグラン・クリュの歴史、特色、生産者などに焦点を絞った「ブルゴーニュのグラン・クリュ」が出版された。

 ノーマンはブルゴーニュやローヌの生産者を紹介する著書を発表しており、クライヴ・コーツMWと並んで、最新のブルゴーニュ事情に詳しい権威。ブルゴーニュ解説書は生産者の取り組みを紹介する水平的な内容が多いが、本書は序文でオベール・ド・ヴィレーヌ氏(DRC共同経営者)が述べるように、グラン・クリュの畑を歴史、土壌、所有者などを踏まえた垂直的な視点で解説しているのが最大の特色だ。

 ヴォギュエのミュジニーとボンヌ・マールは、同じ造りをしているのに、なぜ味わいが異なるのか。シャンベルタンとミュジニーはなぜ、こうも味わいが異なるのか。ブルゴーニュのテロワールの成り立ちを解きほぐし、愛好家を魅了してやまないワインの魅力に迫る。

 1部は歴史、地質など、コート・ドール全体を解説。核となる2部はグラン・クリュと著名なプルミエ・クリュ計33の畑について、地勢・地質、畑名の由来、主要所有者について紹介。第3部はヴィンテージ、栽培や醸造など技術的な解説、4部はテイスティング、購入方法、新世界におけるブルゴーニュ品種の可能性に触れている。

 ブルゴーニュの愛好家向けの専門書だが、ノーマンはジャーナリスティックな視点からフィールドワークを続けてきた。足で歩き、生産者から集めた証言が散りばめられ、解説書でありながら、読み物の要素も備えている。ちょっとした一言にヒントが隠されている。本書片手にコート・ドールを歩きたくなる愛好家は多いだろう。

 翻訳は日向理元氏。的確で無駄がない。第一人者の立花峰夫氏に続く才能を感じさせる。白水社。3570円。

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