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ボジョレー南部から伝統的な醸造法でミネラル感に富むガメイとシャルドネを産する「ドメーヌ・デ・テール・ドレ」当主のジャン・ポール・ブランが来日した。日本を代表するテイスターの大越基裕さん(An Diオーナーソムリエ)と共に試飲し、古典的なボジョレーの魅力を再発見した。
ドメーヌはリヨンに近いシャルネー村に本拠を構える。ブドウ栽培と家畜を飼育する農園だったが、ジャン・ポール・ブランが1977年に引き継いで本格的なワイン造りを始めた。4haの畑が今では48haに拡大した。ボジョレー南部には、黄色の粘土の下に石灰岩が広がるゴールデン・ストーンと呼ばれる土壌があり、そこからシャルドネとピノ・ノワール、ガメイを造る一方で、花崗岩の広がる北部から4つのクリュ・ボージョレも生産する。
ヌーヴォーで有名なガメイは、セミマセラシオン・カルボニックでフルーティな早飲みタイプに仕上げられることが多いが、ジャン・ポールは除梗してしっかりマセラシオンするコート・ドール的なワインを造る。
「カルボニックにトライしたこともあるが、複雑でコクのあるワインを造りたかったから、伝統的なスタイルにたどりついた。ほかの造り手とワインを交換しながら、醸造法を身に着けた。野生酵母で発酵し、ピジャージュしながら4週間かけてじっくりとマセラシオン(醸し)を行う」
彼の出発点となったのが「ボジョレー・ランシアン」。2015は塩気を帯び、金属的なミネラル感に縁どられている。大越さんは「南部の石灰岩土壌から生まれるボジョレーは、北部の花崗岩土壌のタイトでスパイシーな味わいと違って、テクスチャーが柔らかくて、優しい。ピノ・ノワールとガメイの中間を行く味の構成で、ソムリエはセールストークがたくさん盛り込める」という。
同じ土壌から造るシャルドネが「ボジョレー・ブラン・クラシック」と「ボジョレー・ブラン・アン・フュ」。ボジョレー・ブランは地方全体の2-5%しか生産されない。コンクリートとステンレスタンクで醸造したクラシックはフレッシュで、石をなめるようなミネラル感。樽発酵し、3分の1はフードルで熟成するアンフュは、果実のふくらみと豊かさがある。いずれも2015年。
「20年前、シャルドネと対話するうちに可能性を信じたいと思った。ガストロノミーに使えるワインが造りたい。2015は太陽を感じるが、清涼感も感じられる」とジャン・ポール。亜硫酸の添加量は40ppmと極めて少ない。自然派ワインに通じるピュアな味わいが体に染み入る。
北部で18ha所有するクリュ・ボージョレは、コート・ド・ブルイィ、モルゴン、ムーラン・ナヴァン、フルーリーの4つ。中でも「モルゴン コート・ド・ピュイ 2015」は、クリュ・ボジョレーの最高峰を行く。斜面下部の区画ジャヴニエール(Javernieres)の1haから生まれる。骨太で、ストラクチャーとスケール感がある。
「下部なので朝日が早くからたっぷりと当たる。凝縮度は変わらないが、粘土が多く、酸を保持し、繊細で複雑な味わいになる。だれもが欲しがる区画だ。友人が多かったので手に入れることができた。1996が今素晴らしい。寝かせる価値のある畑だ」と。
ドメーヌでは、ボジョレー南部の2haの畑からピノ・ノワールも造っている。標高280メートルの西向き斜面の3区画から造る。コルドン剪定で、ha当たり収量は30ヘクトリットルに抑えている。「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2015」はシルキーで、ジューシー。繊細でデリケートな味わいだ。
ドメーヌのワインは45%が国内向けに出荷される。ボジョレー地方の2つ星「ギィ・ラソゼ」やリヨン近郊の3つ星「ポール・ボキューズ」のようなガストロノミックなレストランのリストに載っている。カジュアルにも楽しめるが、一流シェフに愛される味わいだ。
ヌーヴォー大国の日本はちょっと遅れているが、ガメイは世界的なブーム。ボージョレだけでなく、オーストラリア・ヴィクトリア州やカナダのプリンス・エドワードなどでも、世界クラスのワインが造られている。ニューヨークの感度の鋭いソムリエたちが競って、バイ・ザ・グラスでガメイを供している。
大越さんは1月にボジョレー南部を訪れた。石灰岩土壌で造られるガメイの、ソフトでのびやかな味わいに感銘を覚え、食事とのペアリングにもインスピレーションがわいたようだ。
「高騰したコート・ドールのピノ・ノワールのオルタナティブを探す時代です。南部のガメイは典型的なピノ・ノワールとガメイの中間に位置し、多様な可能性があります。マセラシオン・カルボニックは香り重視ですが、伝統的な製法のガメイは味わいを造れます。ワインと料理のペアリングが大切な時代に、味わいを楽しめるガメイには魅力があります。An Diの料理なら、甘くてスパイシーな豚のローストにハーブを巻いて食べるメニューに、噛み応えのあるモルゴンを持ってきたい」
大越さんは自然派ワインを多用するソムリエでもあるが、亜硫酸を減らしつつもクリーンでソフトなタッチをものにしたドメーヌのスタイルを気に入ったようだ。
ワインの価格も2000円から3000円台に収まっていて、ヴァリューだ。輸入元は富士インダストリーズ(03-3539-5415)。
ドメーヌはリヨンに近いシャルネー村に本拠を構える。ブドウ栽培と家畜を飼育する農園だったが、ジャン・ポール・ブランが1977年に引き継いで本格的なワイン造りを始めた。4haの畑が今では48haに拡大した。ボジョレー南部には、黄色の粘土の下に石灰岩が広がるゴールデン・ストーンと呼ばれる土壌があり、そこからシャルドネとピノ・ノワール、ガメイを造る一方で、花崗岩の広がる北部から4つのクリュ・ボージョレも生産する。
ヌーヴォーで有名なガメイは、セミマセラシオン・カルボニックでフルーティな早飲みタイプに仕上げられることが多いが、ジャン・ポールは除梗してしっかりマセラシオンするコート・ドール的なワインを造る。
「カルボニックにトライしたこともあるが、複雑でコクのあるワインを造りたかったから、伝統的なスタイルにたどりついた。ほかの造り手とワインを交換しながら、醸造法を身に着けた。野生酵母で発酵し、ピジャージュしながら4週間かけてじっくりとマセラシオン(醸し)を行う」
彼の出発点となったのが「ボジョレー・ランシアン」。2015は塩気を帯び、金属的なミネラル感に縁どられている。大越さんは「南部の石灰岩土壌から生まれるボジョレーは、北部の花崗岩土壌のタイトでスパイシーな味わいと違って、テクスチャーが柔らかくて、優しい。ピノ・ノワールとガメイの中間を行く味の構成で、ソムリエはセールストークがたくさん盛り込める」という。
同じ土壌から造るシャルドネが「ボジョレー・ブラン・クラシック」と「ボジョレー・ブラン・アン・フュ」。ボジョレー・ブランは地方全体の2-5%しか生産されない。コンクリートとステンレスタンクで醸造したクラシックはフレッシュで、石をなめるようなミネラル感。樽発酵し、3分の1はフードルで熟成するアンフュは、果実のふくらみと豊かさがある。いずれも2015年。
「20年前、シャルドネと対話するうちに可能性を信じたいと思った。ガストロノミーに使えるワインが造りたい。2015は太陽を感じるが、清涼感も感じられる」とジャン・ポール。亜硫酸の添加量は40ppmと極めて少ない。自然派ワインに通じるピュアな味わいが体に染み入る。
北部で18ha所有するクリュ・ボージョレは、コート・ド・ブルイィ、モルゴン、ムーラン・ナヴァン、フルーリーの4つ。中でも「モルゴン コート・ド・ピュイ 2015」は、クリュ・ボジョレーの最高峰を行く。斜面下部の区画ジャヴニエール(Javernieres)の1haから生まれる。骨太で、ストラクチャーとスケール感がある。
「下部なので朝日が早くからたっぷりと当たる。凝縮度は変わらないが、粘土が多く、酸を保持し、繊細で複雑な味わいになる。だれもが欲しがる区画だ。友人が多かったので手に入れることができた。1996が今素晴らしい。寝かせる価値のある畑だ」と。
ドメーヌでは、ボジョレー南部の2haの畑からピノ・ノワールも造っている。標高280メートルの西向き斜面の3区画から造る。コルドン剪定で、ha当たり収量は30ヘクトリットルに抑えている。「ブルゴーニュ・ピノ・ノワール 2015」はシルキーで、ジューシー。繊細でデリケートな味わいだ。
ドメーヌのワインは45%が国内向けに出荷される。ボジョレー地方の2つ星「ギィ・ラソゼ」やリヨン近郊の3つ星「ポール・ボキューズ」のようなガストロノミックなレストランのリストに載っている。カジュアルにも楽しめるが、一流シェフに愛される味わいだ。
ヌーヴォー大国の日本はちょっと遅れているが、ガメイは世界的なブーム。ボージョレだけでなく、オーストラリア・ヴィクトリア州やカナダのプリンス・エドワードなどでも、世界クラスのワインが造られている。ニューヨークの感度の鋭いソムリエたちが競って、バイ・ザ・グラスでガメイを供している。
大越さんは1月にボジョレー南部を訪れた。石灰岩土壌で造られるガメイの、ソフトでのびやかな味わいに感銘を覚え、食事とのペアリングにもインスピレーションがわいたようだ。
「高騰したコート・ドールのピノ・ノワールのオルタナティブを探す時代です。南部のガメイは典型的なピノ・ノワールとガメイの中間に位置し、多様な可能性があります。マセラシオン・カルボニックは香り重視ですが、伝統的な製法のガメイは味わいを造れます。ワインと料理のペアリングが大切な時代に、味わいを楽しめるガメイには魅力があります。An Diの料理なら、甘くてスパイシーな豚のローストにハーブを巻いて食べるメニューに、噛み応えのあるモルゴンを持ってきたい」
大越さんは自然派ワインを多用するソムリエでもあるが、亜硫酸を減らしつつもクリーンでソフトなタッチをものにしたドメーヌのスタイルを気に入ったようだ。
ワインの価格も2000円から3000円台に収まっていて、ヴァリューだ。輸入元は富士インダストリーズ(03-3539-5415)。
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