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南イタリアのエルミタージュ?カッジャーノのタウリ

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 2013年のベスト・コスト・パフォーマンスの1本だ。

 アントニオ・カッジャーノはイタリア・カンパーニャ州の生産者。タウラージに本拠を構える。アリアニコだけでなく、お買い得なフィアーノ・ディ・アヴェッリーノなども手がける。

 ナポリに旅した際に、地元の複数のワイン屋でオススメのタウラージを聞いた。カッジャーノのヴィーニャ・マッキア・デイ・ゴーティ、カンティーナ・デル・タブルノのブエ・アピス、フェウディ・サン・グレゴリアをどこでも勧めてきた。

 ただ、タウラージは飲み頃に時間がかかる。そのとき買ったボトルは10年以上寝かせてある。ところが、このタウリ・イルピニア・アリアニコは今飲んでおいしいのだ。セカンドワインというよりは、早く飲めるように醸造しているようだ。ステンレスタンクで発酵し、6~8か月間のバリック熟成をしている。

 最初はオレンジの皮が香り、一口ふくんでの印象は、エルミタージュやボージョレだった。花崗岩から生まれるワインに独特の鉄分を含むミネラル感とうまみにあふれている。香りだけなら、コート・ド・ボーヌと間違えるが、味わいはシラーを連想させる。マッキア地区は粘土石灰質土壌が広がる丘陵だそうだが、この冷たい感触と複雑性はイタリア南部とは思えないたたずまいだ。

 ヴィーニャ・マッキア・デイ・ゴーティは堅固な印象が強く、大量のタンニンを含んでいるが、このワインはジューシーでフルーティ。柔らかさとバランスの良さが抜群。軽いわけではない。アルコール度はしっかりと15%。かめるような果実味と、流れるようなタンニンの心地よさがある。

 調べてみたら、ワイン・アドヴォケイトのかつてのイタリア担当アントニオ・ガッローニは09年に88点をつけていた。さすがにセンスがいい。

 初めてマルセル・ラピエールを飲んだときのように「ウマイ」という言葉しか出てこない。

 ダシ汁的なうまみがあり、和食とも合う。しかも値段は軽く2000円を切っている。何度もリピートしている。アリアニコの、いやカンパーニャ州の赤ワインの入門編として、これほどいいワインはない。タウラージはイタリア南部のバローロといわれる。私は、イタリア南部のエルミタージュと言いたい。

(2013年12月 自宅で)
アントニオ・カッジャーノ タウリ・イルピニア・アリアニコ 2010
購入:楽天市場内のショップで1600円
週に一度は飲みたい度:90点

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