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ブルゴーニュの次世代を担うニコラ・ポテル来日

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 ブルゴーニュの次世代を担うニコラ・ポテル氏が、メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌとドメーヌ・ド・ベレーヌのプロモーションで来日し、幅広い視野からワイン造りを語った。

 69年生まれのポテル氏の父はヴォルネイのドメーヌ・プス・ドールを率いたジェラール・ポテル氏。ボーヌの醸造学校を卒業後、ジョルジュ・ルーミエ、マトロのほか、オーストラリアのマウント・メアリー、ルーウィンなどで修行。92年に戻り、96年にはメゾン・ニコラ・ポテルを設立したが、翌年父が急死して、プス・ドールは売却。メゾン・ニコラ・ポテルもコタン・フレール社に買収されたが、醸造長としてとどまったものの最後は辞職。2007年にドメーヌ・ド・ベレーヌ、08年にメゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌを設立した。

 07年からビオロジックを導入し、2年前からビオディナミに転換中だ。土壌微生物学の権威クロード・ブルギニョンの息子の助言も得て、土壌を調査しながら試行錯誤を続けている。

 「過去2年は難しいヴィンテージ続きで、好ましくない結果になっている。雨が多くて、土中の水分が多いと、土のすき入れだけでは限界がある。うねを踏み固めず、土中の微生物が活性化する効果がある馬を3頭使って耕作している。ビオに移行すると、当面は質が落ちるから、過渡期が難しい」と正直に語る。

 メゾンは60アペラシヨンを生産するが、契約栽培農家に助言し、管理を徹底している。ブドウか、一次発酵が終わった段階のワインを購入する。最低でも35年以上の古木に絞っている。ドメーヌは17~18ヘクタールを所有するが、5ヘクタールは植え替え中。メゾン物は12か月、ドメーヌ物は18か月の熟成を経る。栽培、醸造はもちろん、生態系を考慮したワイン造りを進める。

 「冬季剪定した枝は畑ではなく、ドメーヌで焼いて暖房に役立てている。広い意味でのビオを考えているから。収穫用かごは20キロから5キロに変えた。赤ワインはできるだけ全房発酵したい。白ブドウは古い垂直式プレス機で搾る。デブルバージュ(静置)する必要がないほど、澄んだ果汁をとれるから。垂直式の方が抗酸化作用を持つコロイド成分が多く抽出される。90年代の熟成前酸化は、コルクの質と空気式圧搾機の導入でコロイド成分が減ったのが大きな要因だと考える。酸化防止剤の質の低下もある。バトナージュが原因とする見方もあるが、ルロワはバトナージュを多用するのに酸化していないから、関係は薄いと思う」

 ドメーヌ物は収穫日、収量、土壌、新樽率など詳細なデータを裏ラベルに明記している。

 「マグナム瓶なら、もっと多くの情報を載せられるのに。ブルゴーニュはあいまいなことが多い。20年の樹齢でもヴィエイユ・ヴィーニュ(VV)と表示する生産者もいる。今後はVVの表示は止めようと思っている。ワインには酸化防止剤添加の情報しか表示しないのは変だ」

 東京・六本木の1つ星フレンチ「ブルギニヨン」で、ランチをとりながら話を聞いた。サーモンのマリネ、毛ガニと茄子とアボカドのミルフィーユ仕立て、エスカルゴと骨髄、牛胃のロースト、ブレス産小鳩のローストなどとともに、メゾンのサントーバンVV2011、ヴォルネイVV2010、ドメーヌのムルソー・レ・フォルジュ2011、ヴォーヌ・ロマネ・レ・カルティエ・ド・ニュイVV2011を試飲した。サン・トーバンとムルソーのきれいなミネラル感、ヴォルネイの柔らかさ、ヴォーヌ・ロマネの品格など、いずれも欠点のない上品な造り。「目指すのはミネラル感があって、クリーンでピュアなワイン。ドメーヌの畑は35ヘクタールに拡大したい」と語った。

 問い合わせは豊通食料(03-4306-8539)。

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