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「王のワイン」と呼ばれたバローロは、コンテルノ家、ブルーノ・ジャコーザら伝統派、レナート・ラッティ、チェレットに代表される改革派、エリオ・アルターレやロベルト・ヴォエルツィオらバローロ・ボーイズに象徴される現代派の3つの流派に大別されるが、時代の変化と世代交代に伴って、単純な区分けは難しくなっている。小樽を使う伝統派もいれば、大樽を使う現代派もいる。「トレディベッリ」はラッティの影響下にあったが、32歳のニコラ・オベルトが全房発酵を導入するなど独自の手法で、エレガンスを追求する新進生産者だ。
ニコラの父フェデリーコは、ラッティで37年間も働いてきた。ラッティの縁でラ・モッラのベッリに5ヘクタールの畑を購入、2006年から樹を植え始め、2012年にワインの発売を始めた。ニコラは大学を卒業後、メリルリンチで働いていたが、ブルゴーニュワインにほれこみ、父とともにワインを造り始めた。
「我々が現在あるのは、ガヤやジャコーザら先人のおかげだ。バローロ・ボーイズがいなかったら、バローロが日の目を浴びることはなかった。伝統派と現代派の距離はさほど離れていない。両者の造りの違いばかりが注目され、ワインがおいしいか、おいしくないかの議論はあまりされてこなかった。自分は畑でいいブドウを育てることに注力したい」と、来日したニコラが語る。
若さゆえ、因習にとらわれていない。ブルゴーニュから学び、クリュの概念に目覚めた点は、ジャコーザやアルターレたちと同じだ。「アルターレはブルゴーニュに行って、ルネ・アンジェルがポルシェに乗っているのに、我々はなぜフィアットなんだと疑問を持った。そこから、新たな醸造手法に取り組み、バローロの復興が始まったんだ」と。
ワイナリー名の由来となる「ベッリ」(Berri)の畑は、西部にあり、有機栽培を進めている。CCPBというボローニャの認証団体からビオロジックの認証を取得した。銘醸畑ロッケ・デッランヌンツィアータも1.5ヘクタール所有する。発酵槽は、静電気が起きず、温度変化の少ないコンクリート槽を使用。野生酵母で発酵させ、亜硫酸を減らすため、アルゴンガスを充てんして酸化を防いでいる。バローロのマセレーションは14日間と、長くも、短くもない。50ヘクトリットルと25ヘクトリットルのスラヴォニア産大樽で熟成する。5種の赤ワインを試飲した。
「トレディベッリ バルベーラ・ダルバ 2016」(Trediberri Barbera d'Alba 2016)はスミレ、レッドチェリー、酸が高めでジューシー、アルコール度は14.8%だが軽やかで、ピュアさがある。長さは中程度。ニコラはティエリー・アルマンとシャーヴのファン。「樽を使わないので、全房発酵30%を行って複雑さを出した」と。果梗の先端が茶色になったところで収穫するという。87点。
「トレディベッリ バローロ 2013」(Trediberri Barolo 2013)はダークベリー、ミント、バラの花芯、シルキー、テクスチャーは柔らかいが、フェノリックなグリップはしっかりある。酸が高めで、フレッシュ。きわめてエレガント。ミネラル感に富む余韻がジリジリと続き、ほのかにたばこの香り。90点。
「トレディベッリ バローロ 2010」(Trediberri Barolo 2010)はややタイトなタンニンだが、ドライチェリー、ブラウンシュガー、炭の灰、フレッシュな酸と熟した果実がきれいに統合されている。若くして開いていて、香り高く、小石をなめるようなミネラル感。ピュアな果実が際立ち、フェノリックなグリップのあるフィニッシュ。すべて除梗した。92点。
「トレディベッリ バローロ 2008」(Trediberri Barolo 2008)は初めてのヴィンテージ。ブラックカラント、メントール、シガーボックス、タンニンの抽出が強めで、やや乾いた感触が残る。骨組みはしっかりとしている。古典派サイドに寄っているデビュー作。マセレーションは40日間の長きにわたった。現在とはスタイルが異なる。89点。
「トレディベッリ バローロ ロッケ・デッランヌンツィアータ 2012」(Trediberri Barolo Rocche dell’Annunzata 2012)は淡い色調、ダークプラム、オレンジの皮、煎茶、シルキーなテクスチャー、しなやかで温かいタンニン、きめ細かな酸が活力をもたらし、ハーモニアス。重さはないが、しっかりした骨組み、うまみがたっぷりで、エレガントなフィニッシュは浮遊感がある。ロッケ・デッランヌンツィアータは南向きの砂が多い泥灰土。大樽の熟成は22か月間。93点。
ニコラはバイヤーのデイヴィッド・ベリー・グリーンが,あってすぐに可能性を見抜いた若き才能。近年のブルゴーニュのスターに通じる、抽出のやさしさとハーモニーを重視している。視野が広く、柔軟性がある。ネッビオーロは厳格なタンニンと酸を有するため、除梗が一般的だが、全房発酵にも挑戦する数少ない造り手でもある。尊敬する造り手はジュゼッペ・リナルディだという。
輸入元はBB&R。
ニコラの父フェデリーコは、ラッティで37年間も働いてきた。ラッティの縁でラ・モッラのベッリに5ヘクタールの畑を購入、2006年から樹を植え始め、2012年にワインの発売を始めた。ニコラは大学を卒業後、メリルリンチで働いていたが、ブルゴーニュワインにほれこみ、父とともにワインを造り始めた。
「我々が現在あるのは、ガヤやジャコーザら先人のおかげだ。バローロ・ボーイズがいなかったら、バローロが日の目を浴びることはなかった。伝統派と現代派の距離はさほど離れていない。両者の造りの違いばかりが注目され、ワインがおいしいか、おいしくないかの議論はあまりされてこなかった。自分は畑でいいブドウを育てることに注力したい」と、来日したニコラが語る。
若さゆえ、因習にとらわれていない。ブルゴーニュから学び、クリュの概念に目覚めた点は、ジャコーザやアルターレたちと同じだ。「アルターレはブルゴーニュに行って、ルネ・アンジェルがポルシェに乗っているのに、我々はなぜフィアットなんだと疑問を持った。そこから、新たな醸造手法に取り組み、バローロの復興が始まったんだ」と。
ワイナリー名の由来となる「ベッリ」(Berri)の畑は、西部にあり、有機栽培を進めている。CCPBというボローニャの認証団体からビオロジックの認証を取得した。銘醸畑ロッケ・デッランヌンツィアータも1.5ヘクタール所有する。発酵槽は、静電気が起きず、温度変化の少ないコンクリート槽を使用。野生酵母で発酵させ、亜硫酸を減らすため、アルゴンガスを充てんして酸化を防いでいる。バローロのマセレーションは14日間と、長くも、短くもない。50ヘクトリットルと25ヘクトリットルのスラヴォニア産大樽で熟成する。5種の赤ワインを試飲した。
「トレディベッリ バルベーラ・ダルバ 2016」(Trediberri Barbera d'Alba 2016)はスミレ、レッドチェリー、酸が高めでジューシー、アルコール度は14.8%だが軽やかで、ピュアさがある。長さは中程度。ニコラはティエリー・アルマンとシャーヴのファン。「樽を使わないので、全房発酵30%を行って複雑さを出した」と。果梗の先端が茶色になったところで収穫するという。87点。
「トレディベッリ バローロ 2013」(Trediberri Barolo 2013)はダークベリー、ミント、バラの花芯、シルキー、テクスチャーは柔らかいが、フェノリックなグリップはしっかりある。酸が高めで、フレッシュ。きわめてエレガント。ミネラル感に富む余韻がジリジリと続き、ほのかにたばこの香り。90点。
「トレディベッリ バローロ 2010」(Trediberri Barolo 2010)はややタイトなタンニンだが、ドライチェリー、ブラウンシュガー、炭の灰、フレッシュな酸と熟した果実がきれいに統合されている。若くして開いていて、香り高く、小石をなめるようなミネラル感。ピュアな果実が際立ち、フェノリックなグリップのあるフィニッシュ。すべて除梗した。92点。
「トレディベッリ バローロ 2008」(Trediberri Barolo 2008)は初めてのヴィンテージ。ブラックカラント、メントール、シガーボックス、タンニンの抽出が強めで、やや乾いた感触が残る。骨組みはしっかりとしている。古典派サイドに寄っているデビュー作。マセレーションは40日間の長きにわたった。現在とはスタイルが異なる。89点。
「トレディベッリ バローロ ロッケ・デッランヌンツィアータ 2012」(Trediberri Barolo Rocche dell’Annunzata 2012)は淡い色調、ダークプラム、オレンジの皮、煎茶、シルキーなテクスチャー、しなやかで温かいタンニン、きめ細かな酸が活力をもたらし、ハーモニアス。重さはないが、しっかりした骨組み、うまみがたっぷりで、エレガントなフィニッシュは浮遊感がある。ロッケ・デッランヌンツィアータは南向きの砂が多い泥灰土。大樽の熟成は22か月間。93点。
ニコラはバイヤーのデイヴィッド・ベリー・グリーンが,あってすぐに可能性を見抜いた若き才能。近年のブルゴーニュのスターに通じる、抽出のやさしさとハーモニーを重視している。視野が広く、柔軟性がある。ネッビオーロは厳格なタンニンと酸を有するため、除梗が一般的だが、全房発酵にも挑戦する数少ない造り手でもある。尊敬する造り手はジュゼッペ・リナルディだという。
輸入元はBB&R。
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