世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. 92モンラッシェ、20年を経て真価

92モンラッシェ、20年を経て真価

  • FREE
 ブルゴーニュのグランクリュにはしばしば外れがある。

 シャンベルタン、クロ・ヴージョあたりは、面積が広く、生産者も多いため、造り手を選ぶ必要がある。安いからといって、名前にひかれて買うと、ほぼ失敗する。最近はさすがにないが、20年ほど前は、ネゴシアンのシャンベルタンを4000円で失敗して、村名より薄かったなんてことがあった。怖いもの見たさで、ダメモトではあったのだが……。

 モンラッシェで、そうした悲しい思い出はない。値段も安くはないから、買うときも慎重になる。造り手による優劣は歴然としてあるが、大きな失望を味わったことはない。畑のポテンシャルがそれだけ優れているからだろう。

 今回のワインはちょっと不安があった。1992年で180ドル。パリのブローカー、ピーター・ツーストラップのセレクション。買う前は造り手がわからなかった。外れた場合は痛手が大きいが、ピーター・ツーストラップの名前に賭けることにした。価格を考えれば、挑戦する価値はあった。92の状態にも興味があった。

 買ってわかった。造り手がシャサーニュ・モンラッシェのベルナール・モレだったと。モレはシャサーニュに何軒も枝分かれしている伝統の一族。ベルナールは現在、ヴァンサンとトマに畑を譲った。わからないのは、ベルナールがバタール・モンラッシェしか持っていなかったこと。2006年に2人の兄弟が相続してからは、弟のトマがプレスして、それぞれの持分の果汁を別々に発酵している。

 それはいいのだが、このモンラッシェはだれのブドウを買ったのだろうか。畑の狭いモンラッシェについては、ソゼのようにネゴシアンを設立して、ブドウを買うドメーヌもいる。オリヴィエ・ルフレーヴのようにネゴスに徹するところもある。モレのブドウ購入をピーターが仲介したとしても不思議はない。

 きれいな熟成をしていた。深い黄金色。モンラッシェは20年たたないと真価を発揮しない。かねてから思っていたが、これもそうだった。ヘーゼルナッツ、白トリュフ、モカ、ハチミツのゴージャスな香り。凝縮した果実。粘性はほどほどだが、13%近いアルコール度としっかりした酸に支えられ、今が飲み頃だった。余韻は40秒を超えた。

 92年は赤が難しい年で、白の一部には素晴らしいものがある。これもその一つだろう。ろ過しているようだったが、エキスのうまみはたっぷりあった。DRCがモンラッシェを生産していない年だが、造り手によっては発見がある。

(2013年11月 ワイン会で)
モンラッシェ ピーター・ツーストラップ・コレクション 1992
購入:米西海岸のショップで 180ドル
死ぬまでに一度は飲みたい度:90点

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP