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ラ・ロマネはお買い得かもしれない。少なくともロマネ・コンティよりは。ロマネ・コンティは100万円でも買えないが、ラ・ロマネは少なくとも正規輸入元で30万円で販売している。手に入るかどうかは別の話だが。畑の面積は0.845ヘクタール。フランスで最小のグランクリュであり、ロマネ・コンティ(1.81ヘクタール)の半分以下。生産量も半分以下の3500本前後にとどまる。ラ・ロマネの畑は14世紀から知られ、最初のヴィンテージは1827年。フィロキセラ後に植え替えられ、現在は1950年代からの樹が50%、20-40年の樹が30%、100年近い樹が20%となっている。
ロマネ・コンティのように神話に包まれていないのは、長らくネゴシアンが育成(エルバージュ)し、販売してきたからだろう。ブレンドされたり、ネゴス間で転売されたという説もある。所有者のリジェ・ベレール家はラ・ターシュのオリジナル部分も所有していた名門。7代目当主ルイ・ミシェルの祖父の時代から不在地主になり、1946年から2001年まではフォレ家が分益耕作を行った。その間は、マロを終えた樽を、ネゴシアンが育成した。ルロワ(1950-62)、ビショー(1963-75)、リジェ・ベレール家の女性が嫁いだブシャール・ペール・エ・フィス(1976-2001)と続く。2002年にルイ・ミシェルが当主となり、2002から2005はブシャール育成とラ・ロマネ育成の2バージョンがある。2006以降は、彼が畑から瓶詰めまですべてを行っている。
ルイ・ミシェルは2002年から飼育する馬で耕作し、2008年からビオディナミに転換した。畑の畝はロマネ・コンティと違って南北に走り、表土の流出を防ぎ、2003年のような日照の強い年には日焼けを防げる。標高は下部のロマネ・コンティよりわずかに高い。斜度は12%。粘土が少なく、表土は薄い。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ラ・ロマネ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair La Romanee 2013)は最初から砕いた岩を連想させるミネラル感、ウルトラシルキーなテクスチャー、明るい酸、スミレ、プラム、クランベリー、黒いキノコ。しなやかなタンニンとコアにある濃密な果実が絡まり合い、緊張感あふれるドラマが広がる。ミッドパレットからうまみがキノコ雲のように広がり、エネルギーが拡大する。リニアなフィニッシュ。ロマネ・コンティよりわずかに厳格だが、それはテロワールの表れ。球体的なハーモニーとエレガンスを損なうわけではない。年を追うごとにピュアさと透明感が増している。2015ほどの豊満さはないが、2013にしては大成功したゴージャスなワイン。希望小売価格30万円。97点。
ロマネ・コンティとラ・ロマネは、ビオディナミで耕作し、全房発酵を使い、新樽100%で熟成と、造りはほぼ変わらない。それでも微妙な違いがあるところがブルゴーニュの面白さ。いずれも発売したては控えめだが、この2013は開いていた。ラ・ロマネはラ・ターシュやリシュブールよりもロマネ・コンティと似ている。年の近い姉妹のような存在である。
ヴォーヌ・ロマネにはキラ星のごとく、優れたドメーヌがある。ヴィラージュとプルミエクリュを多く手がけるリジェ・ベレールを試飲すると、この村のクリュの多様性と共通する官能性がよくわかる。
ラ・ロマネのすぐ上部にある「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ オー・レニョ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee 1er Cru Aux Reignots 2013)はラベンダー、レッドチェリー、タバコ、熟成が比較的、進んでいた。甘いタンニン、生き生きしていて、ラ・ロマネより濃密で力強い。エネルギーが詰まり、正確で長いフィニッシュにほのかなチョコレート。ラ・ロマネの年の離れた妹である。「濃密に感じるのは当然だ。ラ・ロマネよりさらに表土が薄く、30センチしかない。栄養が少ないから小粒の実をつける」とルイ・ミシェル。2万800円。94点。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ ラ・コロンビエール 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee La Colombiere 2013)はオレンジの皮、ブルーベリー、なめし革、抽出は穏やかで、フレッシュな酸がある。後半がやや重いのは粘土が深いせい。クロ・デュ・シャトーと隣り合っている。1万2000円。90点。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ クロ・デュ・シャトー 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee Clos du Chateau 2013)は、ブルーベリー、シナモン、スモーキーな肉の香り、しっかりした骨組みで、石を砕いたようなミネラル感、うまみと深みがある。カーヴのあるシャトー・ド・ヴォーヌ・ロマネの裏の庭園を畑に変えた。1万5000円。90点。
コント・リジェ・ベレールはヴォーヌ・ロマネ村で、ドメーヌ・ルロワに次いで収穫が早い。ビオディナミを導入しているから成熟が早く、繊細で軽い味わいになるという。2015年から借りて生産を始めたクロ・ヴージョもオーガニックで栽培してきた畑だ。全房発酵は2007年にプルミエクリュのオー・ブリュレで実験的に導入した。グリップとエネルギーがあるのが気に入って、プルミエクリュとグランクリュに広げた。
2012年に取得したニュイ・サン・ジョルジュのプルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュからは白と赤を造る。「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュ・ブラン 2014」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Nuits-Saint-Georges 1er Cru Clos des Grandes Vignes Blanc 2014)は白桃、ヴァニラ、フレッシュだが、ややフェノリックで、重みを感じる。ミネラリーでタイトなフィニッシュ。90点。2万2000円。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュ・ルージュ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Nuits-Saint-Georges 1er Cru Clos des Grandes Vignes Rouge 2013)は頑強さと骨組みがニュイらしい。タンニンは丸いが、量が多い。ニュイのプレモー側らしい力強さがあり、塩みをまとうフィニッシュ。2万2000円。91点。
ルイ・ミシェルのメンターはアンリ・ジャイエ。父との縁で80年代からワイン造りを教わった。3つの教訓があるそうだ。
「いいワインは若くてもおいしい。若くておいしくなければ10年たってもよくならない。いいブドウがなければいいワインはできない。ブドウが良ければ、バケツにいれて、バカンスに出かけて2週間後に戻っても、いいワインができている。自分で飲みたい愛せるワインを造りたい。自分のワインを飲まない造り手はたくさんいる」
チリのプロジェクトではシャルドネやカベルネに挑戦し、オレゴンでは米国人の実業家と組んでいる。畑に恵まれ、努力して、10年間で長足の進歩を遂げた。
輸入元はエノテカ。
ロマネ・コンティのように神話に包まれていないのは、長らくネゴシアンが育成(エルバージュ)し、販売してきたからだろう。ブレンドされたり、ネゴス間で転売されたという説もある。所有者のリジェ・ベレール家はラ・ターシュのオリジナル部分も所有していた名門。7代目当主ルイ・ミシェルの祖父の時代から不在地主になり、1946年から2001年まではフォレ家が分益耕作を行った。その間は、マロを終えた樽を、ネゴシアンが育成した。ルロワ(1950-62)、ビショー(1963-75)、リジェ・ベレール家の女性が嫁いだブシャール・ペール・エ・フィス(1976-2001)と続く。2002年にルイ・ミシェルが当主となり、2002から2005はブシャール育成とラ・ロマネ育成の2バージョンがある。2006以降は、彼が畑から瓶詰めまですべてを行っている。
ルイ・ミシェルは2002年から飼育する馬で耕作し、2008年からビオディナミに転換した。畑の畝はロマネ・コンティと違って南北に走り、表土の流出を防ぎ、2003年のような日照の強い年には日焼けを防げる。標高は下部のロマネ・コンティよりわずかに高い。斜度は12%。粘土が少なく、表土は薄い。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ラ・ロマネ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair La Romanee 2013)は最初から砕いた岩を連想させるミネラル感、ウルトラシルキーなテクスチャー、明るい酸、スミレ、プラム、クランベリー、黒いキノコ。しなやかなタンニンとコアにある濃密な果実が絡まり合い、緊張感あふれるドラマが広がる。ミッドパレットからうまみがキノコ雲のように広がり、エネルギーが拡大する。リニアなフィニッシュ。ロマネ・コンティよりわずかに厳格だが、それはテロワールの表れ。球体的なハーモニーとエレガンスを損なうわけではない。年を追うごとにピュアさと透明感が増している。2015ほどの豊満さはないが、2013にしては大成功したゴージャスなワイン。希望小売価格30万円。97点。
ロマネ・コンティとラ・ロマネは、ビオディナミで耕作し、全房発酵を使い、新樽100%で熟成と、造りはほぼ変わらない。それでも微妙な違いがあるところがブルゴーニュの面白さ。いずれも発売したては控えめだが、この2013は開いていた。ラ・ロマネはラ・ターシュやリシュブールよりもロマネ・コンティと似ている。年の近い姉妹のような存在である。
ヴォーヌ・ロマネにはキラ星のごとく、優れたドメーヌがある。ヴィラージュとプルミエクリュを多く手がけるリジェ・ベレールを試飲すると、この村のクリュの多様性と共通する官能性がよくわかる。
ラ・ロマネのすぐ上部にある「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ オー・レニョ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee 1er Cru Aux Reignots 2013)はラベンダー、レッドチェリー、タバコ、熟成が比較的、進んでいた。甘いタンニン、生き生きしていて、ラ・ロマネより濃密で力強い。エネルギーが詰まり、正確で長いフィニッシュにほのかなチョコレート。ラ・ロマネの年の離れた妹である。「濃密に感じるのは当然だ。ラ・ロマネよりさらに表土が薄く、30センチしかない。栄養が少ないから小粒の実をつける」とルイ・ミシェル。2万800円。94点。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ ラ・コロンビエール 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee La Colombiere 2013)はオレンジの皮、ブルーベリー、なめし革、抽出は穏やかで、フレッシュな酸がある。後半がやや重いのは粘土が深いせい。クロ・デュ・シャトーと隣り合っている。1万2000円。90点。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ヴォーヌ・ロマネ クロ・デュ・シャトー 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Vosne-Romanee Clos du Chateau 2013)は、ブルーベリー、シナモン、スモーキーな肉の香り、しっかりした骨組みで、石を砕いたようなミネラル感、うまみと深みがある。カーヴのあるシャトー・ド・ヴォーヌ・ロマネの裏の庭園を畑に変えた。1万5000円。90点。
コント・リジェ・ベレールはヴォーヌ・ロマネ村で、ドメーヌ・ルロワに次いで収穫が早い。ビオディナミを導入しているから成熟が早く、繊細で軽い味わいになるという。2015年から借りて生産を始めたクロ・ヴージョもオーガニックで栽培してきた畑だ。全房発酵は2007年にプルミエクリュのオー・ブリュレで実験的に導入した。グリップとエネルギーがあるのが気に入って、プルミエクリュとグランクリュに広げた。
2012年に取得したニュイ・サン・ジョルジュのプルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュからは白と赤を造る。「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュ・ブラン 2014」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Nuits-Saint-Georges 1er Cru Clos des Grandes Vignes Blanc 2014)は白桃、ヴァニラ、フレッシュだが、ややフェノリックで、重みを感じる。ミネラリーでタイトなフィニッシュ。90点。2万2000円。
「ドメーヌ・デュ・コント・リジェ・ベレール ニュイ・サン・ジョルジュ・プルミエクリュ・クロ・デ・グランデ・ヴィーニュ・ルージュ 2013」(Domaine du Comte Liger-Belair Belair Nuits-Saint-Georges 1er Cru Clos des Grandes Vignes Rouge 2013)は頑強さと骨組みがニュイらしい。タンニンは丸いが、量が多い。ニュイのプレモー側らしい力強さがあり、塩みをまとうフィニッシュ。2万2000円。91点。
ルイ・ミシェルのメンターはアンリ・ジャイエ。父との縁で80年代からワイン造りを教わった。3つの教訓があるそうだ。
「いいワインは若くてもおいしい。若くておいしくなければ10年たってもよくならない。いいブドウがなければいいワインはできない。ブドウが良ければ、バケツにいれて、バカンスに出かけて2週間後に戻っても、いいワインができている。自分で飲みたい愛せるワインを造りたい。自分のワインを飲まない造り手はたくさんいる」
チリのプロジェクトではシャルドネやカベルネに挑戦し、オレゴンでは米国人の実業家と組んでいる。畑に恵まれ、努力して、10年間で長足の進歩を遂げた。
輸入元はエノテカ。
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