トランプ・ワイナリーが外国人労働者募集、大統領の主張と矛盾　

　トランプ大統領の息子がヴァージニア州に所有するトランプ・ヴィンヤード・エステーツが、今年の栽培作業のために計29人の外国人季節労働者を募集している。「米国製品を買い、米国人を雇おう」というスローガンを掲げるトランプ大統領だが、おひざ元のワイナリーからして、主張通りに行かないようだ。
　地元紙によると、昨年12月には6人を募集していたが、2月に23人をさらに募集し、計29人になった。剪定、耕作、収穫などの栽培作業は、厳しい肉体労働のため、米国市民ではなく、ヒスパニック系、ベトナム系などの外国人労働者に依存している。
　カリフォルニアのナパヴァレーでは、ワイナリーが栽培管理会社と委託契約を結び、作業員を派遣してもらう。管理会社は、季節農業労働者向けのH-2Aビザを取得して、作業員を雇用する。H-2Aビザは米国人労働者が不足している場合に、農作業に就く外国人労働者を一時的に雇用するためのビザ。雇用者は、作業を行う地域の新聞に広告を打つなどして、米国市民を雇用する努力をしたうえで、移民局に申請する必要がある。ヴァージニアでは米国市民と外国人は同じ時給10.72ドルで雇用し、必要な場合は住宅や交通手段も供与するという条件が定められている。
　ヴァージニアに限らず、米国内で中心となるカリフォルニアのワイン産業でも、ヒスパニック系の栽培の作業員が産業構造に組み込まれている。トランプ大統領の排外的な主張に動揺が走っているが、息子が所有するワイナリーが外国人労働者なしでたちいかないことが、大統領の主張に無理があることを示している。