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「王のワイン」バローロを代表するカンティーナ「ジャコモ・コンテルノ」の3代目当主ロベルト・コンテルノが初来日し、古典派のワインと哲学を披露した。完璧主義のロベルトは細部を改善して、1990年代以前の伝統的なワインを優雅なスタイルに進化させている。
最も長期熟成に耐えるモンフォルティーノ
イタリアでトスカーナと肩を並べるピエモンテで、バローロは1981年にDOCGに昇格した。晩熟で、酸度が高く、タンニンの豊かなネッビオーロから造られる。ジャコモ・コンテルノは地上で最も長期熟成に耐えられるワインの1つを造り、フラッグシップ「モンフォルティーノ」は世界の評論家から高く評価されてきた。
コンテルノ家は18世紀からのワイン造りの歴史を有する。初代のジャコモが第一次大戦から帰還し、長期熟成の可能なバローロを造る決意をした。最高の農家から調達したブドウで、リゼルヴァ・バローロと、故郷のモンフォルテ・ダルバ(Monforte d'Alba)にちなむモンフォルティーノを1910-1920年代に始め、樽で販売した。ジョヴァンニは1930年代に亡くなり、息子のジョヴァンニが家族の伝統を引き継ぐワイン造りを続けた。
ジョヴァンニは弟のアルドと一緒にワインを造っていたが、1969年にたもとを分かち、弟はモダン寄りのアルド・コンテルノを興した。ジョヴァンニは2004年に亡くなるまでの45年間にわたり、「クラシック」と呼ばれる力強くて重厚なバローロを造り続け、1970、1990、2000などの偉大なヴィンテージを残した。
ジョヴァンニの功績を継承した息子のロベルトは、ブドウの調達から畑の購入に移行した。1974年、セッラルンガ・ダルバ(Serralunga d'Alba)で日照に恵まれて最も優れた区画の1つカッシーナ・フランチャ(Cascina Francia)の14haの畑を購入し、伝説的な1978年を造った。カッシーナ・フランチャは2010年産から法律改正によって、フランチャ(Francia)に改名された。
さらに、2008年にチェレッタ(Cerretta)を追加。2015年にはカッシーナ・フランチャに隣接する南向き斜面のアリオネ(Arione)を取得した。アリオネはブルーノ・ジャコーザが1970年代に素晴らしいバローロを生み出したクリュだ。
コンテルノは現在、セッラルンガの標高400mのフランチャ(14ha)、チェレッタ(3ha)、アリオネ(6ha)の3種のバローロに加えて、恵まれた年にリザーヴとして仕込むモンフォルティーノを造っている。
一方、2018年にはガッティナーラ(Gattinara)で1906年に創設された最古のネルヴィを購入し、ワイナリーを刷新して、バローロよりは早熟でブルゴーニュに通じる優しいワインを再興している。
几帳面で完璧主義の3代目ロベルト
コンテルノのバローロは長時間のマセラシオン、大型のオーク樽(ボッティ)で長期熟成、4-7年間の瓶熟成で造られる伝統的なスタイルだったが、ロベルトの下でバランスがよくエレガンスを感じさせるスタイルに変わっている。ジョヴァンニは2004年に亡くなったが、息子は20年間で確固たる地位さらに高めた。
几帳面な性格で、細部の改良と実験を続けて水準を上げてきた。プレゼン用に造られた資料はボルドーのトップシャトーかと思えるほど緻密で、データが詰まっている。妥協を許さない性格が伝わってくる。
1985年に建造したモンフォルテのワイナリーはクリーンでウルトラモダン。800種の野生酵母を集めて、SO2が少量ですみ、揮発酸が少なく、発酵が速く進む酵母の研究を続けている。コルクは3ユーロの高価なもの。綿密な処理でブショネを回避している。瓶詰めラインは窒素ガスを注入するモダンな機器を導入している。実験的な畑でマッサール・セレクションを試験栽培している。
「ワインは畑よりも醸造所でできる。発酵と瓶詰めが大切。発酵が終わったら90%は終わり。後戻りはできない」
ジャコモ・コンテルノとネルヴィ・コンテルノの計5種のネッビオーロを試飲した。
「ジャコモ・コンテルノ バローロ・リゼルヴァ モンフォルティーノ 2019」(Giacomo Conterno Barolo Riserva Monfortino 2019)は豊かなタンニン、深みがありしっかりした骨格。エキスの凝縮感があり、ダークチェリー、湿った土、タバコ、構造はしっかりしているが重さはなく、調和がとれている。圧倒的なエネルギーが詰まっている。グリップのある優雅な余韻がじりじりと伸びる。フランチャとアリオネをすべてブレンドした。30分ほどおくとハーモニーを奏でてピノ・ノワールのようだ。20年後に再会したい。15万円。98点。
タンニンの質で判断するモンフォルティーノ
モンフォルティーノは3つのクリュから造られるが、別々に醸造して保管し、最終段階でブレンドする。区画の選別の基準はなく、ブドウを食べて果皮のタンニンの質を見極めて、頭の中にある型と比較しているという。2014年までは西南西向きののフランチャだけだったが、2015年から南向きのアリオネも使い始めた。2019年はフランチャとアリオーネがすべてモンフォルティーノに使われ、チェレッタが単独で詰められた。
モンフォルティーノの2020年は瓶詰め中で今年10月にリリースされる。2021年は数か月ごとに詰めていて、リリースはもう少し先になる。2022年は暑かった年ですぐに飲めるタイプが出来た。何十年も熟成するタイプでないためリリースしないだろうという。
「ジャコモ・コンテルノ バローロ・フランチャ 2021」(Giacomo Conterno Barolo Francia 2021)は西南西向きの9haから。フランチャらしい力強いタンニンが溶け込んでいる。鉄分、なめし革、砕いた石、ミント、凝縮していて深みがある。ミネラル感を帯びた長い余韻。4万8000円。95点。
「ジャコモ・コンテルノ ネッビオーロ・ダルバ ヴィーニャ・アリオネ 2022」(Giacomo Conterno Nebbiolo D'Alba Vigna Arione 2022)はアルバの町周辺の広大な地域の砂質の多い土壌から造られる。バローロよりアプローチャブル。クラッシュしたバラ、オレンジの皮、リコリス、生き生きしていて果実味が豊か、厚みがあり、力強さと優雅さを兼ね備えている。2022は暑くて乾燥したヴィンテージ。最初のヴィンテージは2019。量は少ないがコンテルノがネッビオーロで表現したいものがよくわかる。3万3000円。93点。
ブルゴーニュ的なガッティナーラ
ネルヴィはピエモンテの北方ガッティナーラの老舗カンティーナ。ロベルトが伝統的なワイン造りの復活を目指して、空調設備を導入し、大樽ごとのワイン管理を徹底している。タンニンの量は同じだが、バローロより柔らかい質感。火山性土壌でピエモンテ南部よりもブルゴーニュ的なエレガンスを備える。
「ネルヴィ・コンテルノ ガッティナーラ 2021」(Nervi Conterno Gattinara 2021)は生き生きしていてブラッドオレンジ、ザクロ、バルサミコ、湿った粘土、繊細で柔らかいタンニン、なめらかな余韻。霜で収量が減った年。1万5000円。92点。
「ネルヴィ・コンテルノ ガッティナーラ ヴィーニャ・ヴァルフェラーナ 2020」(Nervi Conterno Gattinara Vigna Valferana 2020)はレッドチェリー、メントール、ミント、しおれたスミレ、リッチな果実味、洗練されたタンニン。バローロの骨格はないものの、ニュアンスに富んでいる。2万4000円。94点。
輸入元はエノテカ。
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