- FREE
1年ぶりに来日したスペインの至宝ベガ・シシリアの最高経営責任者パブロ・アルバレスと一緒にウニコ2016を試飲した。力強さと優雅さが調和し、エネルギーがあふれている。2010年以来最高のワイン。至高の体験だった。テンポス・ベガ・シシリア・グループを拡大して不動の地位を築いたパブロの哲学と、注目されるリアス・バイシャス・プロジェクトの進捗状況も聞いた。
1954年にビルバオに生まれた通称ドン・パブロはマドリードのテイラーで仕立てるいつもの千鳥格子ブレザー姿で、LVMHから移籍してきたマネージング・ディレクターのジェシカ・ジュルミーを伴って現れた。今年に入って3月半ばまで27回飛行機に乗ったという。相変わらずの仕事中毒ぶりだ。
「ベガ・シシリア ウニコ 2016」(Vega Sicilia Unico 2016)はティント・フィノ (テンプラニーリョ) 96%、カベルネ ソーヴィニヨン4%。口当たりはデリケート、ヴェルベッティで、ブラックチェリー、ブルーベリー、松林、カシス、繊細で柔らかいタンニン、オークはシームレスに溶け込んでいる。さわやかな酸、活気があふれて重層的、力強さと優雅さが調和している。湿ったチョーク、エスプレッソ、タバコ、今から楽しめるエレガンスがありながら、20年は熟成可能な構造もある。余韻は1分近い。フランス産とアメリカンオークの新樽と中古樽、2万Lの樽を組み合わせて瓶内熟成もする。瓶詰めは2022年5月。2016は過度の暑さがなかった。9月22日に収穫を始めて10月11日に終えた。アルコール度は14.5%。総生産量は9万2292本。99点。
評価を気にせず顧客を大切にする
ベガ・シシリアの創業は1864年。1世紀半を超す歴史を有する。標高720-930mの沖積粘土石灰質土壌。ウニコは「唯一」という名前の通り、熟成力がアイデンティティだ。飲み頃になるまで保管して、ワインが持つ本来の姿に導いてきた。
アルバレス家が1982年に買収して品質を向上させ続けている。1991年にベガ・シシリアと同じリベラ・デル・ドゥエロにアリオン、1993年にハンガリー・トカイにオレムス、2001年にドゥエロ川沿いのトロにピンティア、2009年にボルドーのバンジャマン・ド・ロスチャイルド男爵と合弁事業を組んでリオハにマカンを設立した。
ベガ・シシリアはリベラ・デル・ドゥエロを発展させた原動力でもある。買収当時は十数軒のワイナリーがこの名称を認められたが、現在は300軒を超えて、世界的な高級ワイン産地の地位が確立された。
ベガ・シシリアの40年前の海外市場は4から5か国だったが、140か国まで増えた。ネゴシアンからラ・プラス・ド・ボルドーでプリムールをしてはどうかと打診があるが応じない。熟成させて市場に出すのが原則だ。
国内では個人顧客に直接販売する。1000人がウェイティングリストで待機している。希少なワインとして特権階級のあこがれの的になっているが、一般の顧客を大切にしている。「クリスマスイブに家族と飲むために、バルブエナを3本だけ注文する顧客のことを常に考慮している」とパブロが明かす。
ロバート・パーカーはベガ・シシリアのワインに100点を与えたことは一度もない。高得点でも98点か99点どまりだったが、良好な関係を保っていた。ルイス・グティエレスは古いヴィンテージに100点を与えたが。パブロは評価は気にしない。ボルドーを含む多くのワイナリーと違って、パーカー・ポイントによって値上げすることもない。自社畑100%で供給が安定している。
最も感動したウニコは1962年
パブロにとって最も記憶に残るウニコは?
「最も感動したワインの1つは1962年だ。エレガントでフィネスがある。複雑でいまだに若くて力強い。ウニコにとって重要なのは品質の一貫性だ」と。
スペインでいま最も注目されているのは、買収40周年を記念して2022年に発表されたリアス・バイシャスのプロジェクトだ。ガリシア州ポンテベドラ県クレセンテ村にボデガス・イ・ビニェドス・デイバ(Bodegas y Vinedos Deiva)を建設中だ。白い石灰質土壌でアルバリーニョを栽培する。2種の2024年産ワインを2027年にリリースする予定だ。
アルバリーニョは素晴らしい可能性
雨が多く年間降水量は1000Lに達する。マイクロ・クライメットも複雑で30haの自社畑と20haの契約畑をあわせる予定。地価が高騰している。小樽は使わず、フードルとアンフォラで熟成する。パブロは「アルバリーニョは素晴らしい可能性を秘めている白ブドウ」と語る。
「(正規代理店を務める)DRCのモンラッシェやコルトン・シャルマーニュを上回るポテンシャルがあるか」と尋ねると、「あれは別物だ」と答えた。
10年前に着任した醸造責任者のゴンサロ・イトゥリアガは様々な醸造手法にトライしていて、2025年のウニコにはガラス容器のワイングローブを実験的に使っている。ワイングローブ100%で醸造する、ブルゴーニュのアルノー・アントの話をするとパブロも関心を示した。
一つ所にとどまらず常に進化するのがベガ・シシリアの真価だ。
輸入元はファインズ。
購読申込のご案内はこちら
会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!