世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. 情熱と直感で動くカミーユ・ティリエ、ガレージワインからライジングスターへ(ブルゴーニュ2023)

情熱と直感で動くカミーユ・ティリエ、ガレージワインからライジングスターへ(ブルゴーニュ2023)

  • FREE

 どんな事業もゼロから始めるのは容易ではない。地価が高くて人間関係の複雑なブルゴーニュは特に厳しい。ボルドー・サンテミリオンのジャン・リュック・テュヌヴァンは20年以上かけて、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセBに認められた。カミーユ・ティリエはミクロネゴスを立ち上げて10年足らずで世界が認めるヴィニュロンになった。テュヌヴァン同様に、忘れられていたテロワールでガレージ・ワインを成功させた。


 カミーユはパリ生まれ。文学を学び、幼い頃から香りを見分ける芸術に惹かれて調香師を目指した。化学が得意でないことに気づいて、香りを基礎とする職業に転向し、2008年にボーヌに留学した。ドメーヌを継ぐクラスメートに囲まれて天職を見つけた。ボルドーで国際ワイン貿易のマスター(修士)を取得し、ブルゴーニュに戻った。


ブルゴーニュの親密なネットワーク
謙虚さで偉大な造り手を引き寄せる


 今はなきニコラ・ポテルのドメーヌ・ド・ベレーヌで販売を担当し、セラー・マスターだったカナダ生まれのマット・チティックとパートナーになった。縁もゆかりもない土地で、彼女は伝説的な造り手たちと出会った。人脈を引き寄せたのは謙虚さと情熱と忍耐力、分析の数値にとらわれない直感だった。


 DRCで収穫作業をした際、前醸造長のベルナール・ノブレと出会った。全房発酵の方法を教えてくれた。彼は最初の収穫を手伝い、DRCを引退した後も2018年から2022年まで毎年、サポートしてくれた。同じく全房発酵で知られるドメーヌ・デュジャックのジェレミー・セイスもワイン造りのアドバイスをしてくれた。オベール・ドヴィレーヌの所有するドメーヌ・ド・ヴィレーヌで経験を積んだ。ブルゴーニュらしいコミュニティのネットワークに支えられてきた。


 ニューヨークで開かれたイベントでは、ドメーヌ・ド・ラ・コートのラジャ・パーと知り合った。ド・ラ・コートでも経験を積んだ。ソムリエをしていた彼は最初のヴィンテージを試飲するためにブルゴーニュを訪れ、ワインを購入したという。若い彼女には行動力がある。


 2016年にドメーヌを興したのはコルゴロワン。コート・ド・ニュイの最も南に位置する。北部の有名なドメーヌやネゴシアンに向かってD974を走るバイヤーやジャーナリストが通り過ぎる小さな村だ。友人から1000ユーロを借りて、最初の年は水も電気も使わずにワインを造った。


コルゴロワンのポテンシャル信じる


 醸造は手作業と足作業。野生酵母で発酵させ、ラチェット(歯止め)機構の旧式プレス機で圧搾した。足踏みで優しく抽出し、果汁をバケツで上からかけて果房を湿らせた。アンフュージョン(浸漬)である。愛情をこめてラベルを手貼りし、ボトルに手でワックスをかけた。2000本のガレージワインはすぐに売れた。


 2022年にはドメーヌ・ジル・ジュールダンからドメーヌを売却する申し出があり、銀行から資金を借りた。親の援助は受けていない。現在の施設は収穫人の宿舎や食堂があり、犬が駆け回る。


 6.5haの自社畑はコルゴロワンに広がり、ブドウを調達するコンブラシアンも粘土石灰岩土壌に広がっている。ブドウ樹は有機栽培され、耕作には2頭の馬を使っている。樹齢は60年から100年の古樹。できるワインはコート・ド・ニュイ・ヴィラージュAOCとなるが、カミーユはテロワールのポテンシャルを信じている。年産2万8000本。


 「カミーユ・ティリエ ブルゴーニュ・アリゴテ ル・ジャルダン 2023」(Camille Thiriet Bourgogne Aligote Le Jardin 2023)はポマールとコルゴロワンのブレンド。ライム、柑橘、黄色の花、鮮やかな酸、ほのかにワクシーなテクスチャー、ジンジャー、濡れた石。エキスがたっぷりとあり、塩気とうまみを帯びたフィニッシュ。12.5%。90点。


 「カミーユ・ティリエ コート・デュ・ジュラ サヴァニャン・ウイユ 2023」(Camille Thiriet Cote du Jura Savagnin Ouille 2023)は黄色の果実、ドライフルーツ、ハチミツ、白胡椒、クリーミィでねっとりしたテクスチャー、ワクシーで硬質なミネラル感。スパイシーで、長い余韻。子供の頃に父からかがされたジュラの思い出から生まれた。600Lのドゥミミュイ1樽から552本。91点。


 「カミーユ・ティリエ ブルゴーニュ ピノ・ノワール レ・ブランシュ 2023」(Camille Thiriet Bourgogne Pinot Noir Les Blanches 2023)は2012年に最初に購入したポマール上部の白い畑。樹齢100年で小粒の実をつける。ダークラズベリー、ワイルドベリー、ポプリ、しっかりした骨格、さわやかな酸、きめ細かいタンニン。純粋でち密、塩気を帯びている。収量は15hl/ha。果房を濡らしただけのアンフュージョンで仕込んだ。92点。


 「カミーユ・ティリエ コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ ラ・モンターニュ 2023」(Camille Thiriet Cote de Nuits-Villages La Montagne 2023)はコルゴロワンの標高280mの区画。石灰岩の上の軽い粘土土壌。全房発酵50%。ブラックラズベリー、レッドチェリー、砕いた岩、洗練されたタンニン、コクがあり豊かな果実味。2023らしい力強さと深みがある。素晴らしい。13%。93点。


 輸入元はジェロボーム。

スタッフの食堂
コンクリートタンクで全房発酵
古樽で熟成
ベルナール・ノブレ(上)がプレス

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP