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フランスのオーガニックワイン生産者は、べと病対策に必要な銅系殺菌剤の規制強化によって、困難な状況に直面している。2024年のように雨量が多くてべと病が広がったヴィンテージに収量が大幅に減少するのを食い止めるのが難しくなるためだ。
高温多湿の環境で発生しやすいべと病(Downy mildew)はブドウの葉の裏に生じるカビが光合成をさまたげて収量の減少を招く。1878年にフランスで確認された。有機栽培では合成殺菌剤は禁止されているため、生産者は銅系殺菌剤を散布して防ぐ。
地中の微生物や地下水に影響を与える銅の蓄積を懸念してハーブのトリートメントなどをまく生産者もいるが、自然派ワインを造るほとんどのオーガニックワイン生産者にとっても銅系殺菌剤は不可欠な薬剤だ。
ところが、フランスの食品安全・環境・労働衛生庁(ANSES)は昨年7月、広く使用されている製剤を含む銅系殺菌剤20種の承認を更新しなかった。1月15日をもって売買できなくなった。2026年から最も安価な粉末ベースの製剤は市場から撤退する。
さらに、ヘクタールあたり年間4kgの使用上限、住宅地や水路付近の使用制限、週1回の散布、開花期の使用禁止など、規制が強化された。
ANSESは規制強化の理由について、メーカーの安全性のデータが不十分で、ブドウ園労働者の健康被害リスクがあることを挙げた。
今回の決定により、有機栽培の農家はコストが軽い粉末製剤を使えなくなりダメージを受ける。有機栽培の生産者から非難の声が上がっている。
現在の欧州連合(EU)の規制では、農家は1haあたり7年間で28kg(年間7kg)の銅の散布が認められている。銅と硫黄を主成分とするうどんこ病(Powdery mildew )対策に使われるボルドー液も銅の蓄積につながるが、ITAB研究所(有機農業食品技術研究所)のデータによると、フランスの有機栽培農家は雨の多かった2024年でも平均わずか3.72kg/haしか使用していなかった。
2024年はシャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドーなどの主要産地で降雨量が多く、うどんこ病が蔓延して、収量が大幅に低下した。今回の決定で有機栽培のブドウ園が慣行栽培に戻ったり、化学殺菌剤の使用が増加したりするリスクを指摘する生産者もいる。
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