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収穫真っ最中のボルドーのアントル・ドゥー・メールで23日、37歳の生産者が自殺した。気候変動による不作や消費の落ち込みで危機に瀕しているジロンド地方のワイン業界に、衝撃と悲しみが広がっている。
地元報道によると、亡くなったのはジロンド県の人口80人のサン・ティレール・デュ・ボワ(Saint-Hilaire-du-Bois)で、シャトー・セルヴァン(Château Servan)を営むジョナサン・メイヤー。ジロンド県農業会議所の議員を務めていた。
農業会議所はワイン消費の減少と厳しい状況となっている農業危機が、原因となっていると指摘した。メイヤーは15haのブドウ畑を所有する家業を2018年に継いで、シャトーの経営に携わっていた。
会議所のジャン・サミュエル・エナール会長は「この悲劇は、前例のない危機に直面しているワイン業界全体が経験している苦難を痛切に反映しています。ボルドーのブドウ畑を構成する人々の声に耳を傾ける緊急性を、改めて認識させられます」と述べた。
赤ワインの消費減少、地政学的な緊張、生産コストの上昇などで、ボルドーの栽培農家は苦しんでいる。生産過剰を是正するため、農家に補助金を給付して、ブドウ樹の引き抜きが進められている。栽培農家は借金に苦しみ、将来への不安を抱えている。アントル・ドゥー・メールは中国の需要増大を期待していたがかなわず、ボルドーで最も苦しんでいる地域。
ボルドーでは5月にもカスティヨン・コート・ド・ボルドーのシャトー・グラン・シャン(Château Grands Champs)の畑の真ん中で59歳の栽培家クリスト・ブランが自殺する悲劇が起きた。畑の引き抜きに必要な資金の融資に銀行が難色を示したためだ。資金がなければ引き抜きができず、申請が承認されたのに、事後に支給される補助金を受け取れないことに悩んでいたという。

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