台湾の億万長者ウッド・チェン、偽造ワインスキャンダルに関与か

　台湾の億万長者ウッド・チェンが10億台湾ドルを超す偽造ワイン事件に関与しているとするニュースを、英国のワインメディアのデカンターやドリンクス・ビジネスが報じた。

　両社の報道によると、問題になっているのはトップ100ワインとUMCという台湾のワイン商が10億台湾ドル（約45億5300万円）を超す高級ブルゴーニュワインを購入した件で、これらのワインが偽物ではないかと疑われている。

　疑わしいワインは電子機器大手ヤゲオ・コーポレーションの元会長で億万長者のウッド・チェンから来たものと暴露されている。チェンは直接、あるいはUMCなどのワイン商を通じて、自分のコレクションを友人たちに販売していた。

　台湾のエリートがパーティで、これらのブルゴーニュの様々なヴィンテージ、区画、生産者のワインを楽しんだ際に、見た目も味もほとんど同じだったため、疑惑が浮上した。

　このスキャンダルは台湾の金融、テクノロジー、不動産、メディア業界の有力者にパニックを引き起こしたと報じられている。チェンはコレクションのワインの正当性を主張しているという。一部のワインについて顧客への返金に同意したとも報じられている。

　ブロックチェーンやNFTを活用して生産者から直接仕入れする高級ワインを提供するデジタル会員制クラブ「キュレイテッド」（Crurated）のアルフォンソ・ド・ガエターノCEOはこの事件に関連して、公開書簡を発表した。

　「会員や生産者に対し、透明性、信頼性、誠実さに対するキュレイテッドの取り組みを強調する必要性を感じた」「10億台湾ドル相当の偽造ワインの発覚は、この業界の脆弱性と私がキュレイテッドを設立した理由を思い起こさせる」などと述べて、キュレイテッドが偽造ワインから身を守り、コレクターと有名生産者を結びつけることに専念していると主張している。

　今回のスキャンダルは、ウッド・チェンの弟でヤゲオ・コーポレーション現会長のピエール・チェンが行っている世界的なオークションのツアーにも波紋を投げかけた。

　ピエールはサザビーズを通じて、高級ブルゴーニュのコレクションを販売するツアーを行っている。高額落札の世界記録も出た。全5回の予定で、9月にニューヨーク、11月に香港での開催が予定されている。最終的に総額5000万ドルの売り上げが予想されている。

　ドリンクス・ビジネスはピエールのコレクションの真正性について、サザビーズに問い合わせた。サザビーズはプロヴェナンス（来歴）の正しさと厳格な検査を強調する回答をした。

　プロヴェナンスについては「ワインのほとんどは、サザビーズの最も評判の良い個人所有のオークションで購入されたか、ドメーヌや代理店から直接購入された」と返答。

　検査にについては「サザビーズの業界をリードする真正性検査手順に準じて検査され、最も繊細なボトルは、ワインの真正性に関する世界的専門家であるマイケル・イーガン氏によるさらに厳格な検査を受けた」と返答している。