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シャンパーニュに次いで、高品質のスパークリングワイン産地はカリフォルニアに違いない。
理由をわかりやすく言えば、シャンパーニュは技術的な蓄積の必要なワインだからだ。カリフォルニアには、多くのメゾンが進出してスパークリングを造っている。撤退したところもあるが、歴史が長い。本場の技術を異なる気候に合わせて、適応させてきた。その時間の長さが品質を高みに押し上げている。
その意味で、私のお気に入りはロデレール・エステートのレルミタージュと、ドメーヌ・カーネロスのレーブだったが、考えを改めた。カリフォルニアで最も安定した高品質スパークリングの生産者はシュラムスバーグだ。
日曜に無理を承知で訪ねて、ヒュー・デイヴィス社長まで出てきてもらった。ここのスパークリングはホワイトハウスや国賓ディナーで最も多く注がれている。最初は言うまでもなく、1972年のニクソン電撃訪中を彩った1969年のブラン・ド・ブラン。周恩来とニクソンが乾杯し、世界にその名を知られるようになった。その後に進出したシャンパーニュのメゾンよりはるかに早く、スパークリング造りを手掛けて、不動の立場を築いた。
試飲した中で印象深かったのが、J・シュラム2006とリザーヴ2005。いずれも樽発酵が40%。前者はシャルドネ83%とピノ・ノワール17%。後者はピノ・ノワール74%とシャルドネ24%。シャンパーニュで言えば、樽をかけたアンリオとクリュッグのイメージだろうか。
どちらも、樽発酵に由来する微妙な酸化、還元的な造りによるミネラル感、冷涼な産地をブレンドする複雑性が絶妙にバランスしている。私の好みは、ピノ主体のリザーヴ2005。ロデレールの本拠地メンドシーノ主体に、ソノマ、マリン、ナパをブレンドしている。ブレンド比率は長年の蓄積で得られた方程式なのだろう。クリュッグやボランジェを連想させる果実の力強さ、香りのスペクトラムを感じさせた。引き締まっているが、微妙な果実のふくらみはやはりカリフォルニア。シャンパーニュの1990年のような、よく熟したニュアンスがある。つまり、優良年のシャンパーニュを連想させるのだ。
昨年、日本のソムリエがブラインド試飲をして、シャンパーニュ勢を打ち負かしてトップに立ったのがJシュラム2005で、3位がリザーヴ2005だった。クリュッグは2位、4位はなぜかベルエポック2004。クリスタル2005は6位で、ドン・ペリニヨン2004は最終の7位だった。
小樽発酵は日本で過大評価されている節がある。世界的には傾向が違うのだが、クリュッグ的なスタイルのシュラムスバーグが高得点を得たのは想像がつく。クリスタルの評価が低いのは、ヴェルズネイのピノ・ノワールのミネラル感を生かした造りが、若いときは理解しにくいからだろう。きわめて硬い。シャンパーニュをブラインドで評価するのは、スティルワインよりむずかしい。
ともあれ、ナパヴァレーで、スパークリングワインの真打に目覚めた貴重な機会ではあった。現地価格はいずれも110ドルで、シャンパーニュのプレスティージュより安い。品質は同じ土俵に立っているからお買い得だ。ラベルより、中身で買う人にお勧め。
(2014年9月8日 カリフォルニア・ナパヴァレーで)
シュラムスバーグ リザーヴ2005
月に一度は飲みたい度:94点
シュラムグバーグ J・シュラム2006
月に一度は飲みたい度:92点
理由をわかりやすく言えば、シャンパーニュは技術的な蓄積の必要なワインだからだ。カリフォルニアには、多くのメゾンが進出してスパークリングを造っている。撤退したところもあるが、歴史が長い。本場の技術を異なる気候に合わせて、適応させてきた。その時間の長さが品質を高みに押し上げている。
その意味で、私のお気に入りはロデレール・エステートのレルミタージュと、ドメーヌ・カーネロスのレーブだったが、考えを改めた。カリフォルニアで最も安定した高品質スパークリングの生産者はシュラムスバーグだ。
日曜に無理を承知で訪ねて、ヒュー・デイヴィス社長まで出てきてもらった。ここのスパークリングはホワイトハウスや国賓ディナーで最も多く注がれている。最初は言うまでもなく、1972年のニクソン電撃訪中を彩った1969年のブラン・ド・ブラン。周恩来とニクソンが乾杯し、世界にその名を知られるようになった。その後に進出したシャンパーニュのメゾンよりはるかに早く、スパークリング造りを手掛けて、不動の立場を築いた。
試飲した中で印象深かったのが、J・シュラム2006とリザーヴ2005。いずれも樽発酵が40%。前者はシャルドネ83%とピノ・ノワール17%。後者はピノ・ノワール74%とシャルドネ24%。シャンパーニュで言えば、樽をかけたアンリオとクリュッグのイメージだろうか。
どちらも、樽発酵に由来する微妙な酸化、還元的な造りによるミネラル感、冷涼な産地をブレンドする複雑性が絶妙にバランスしている。私の好みは、ピノ主体のリザーヴ2005。ロデレールの本拠地メンドシーノ主体に、ソノマ、マリン、ナパをブレンドしている。ブレンド比率は長年の蓄積で得られた方程式なのだろう。クリュッグやボランジェを連想させる果実の力強さ、香りのスペクトラムを感じさせた。引き締まっているが、微妙な果実のふくらみはやはりカリフォルニア。シャンパーニュの1990年のような、よく熟したニュアンスがある。つまり、優良年のシャンパーニュを連想させるのだ。
昨年、日本のソムリエがブラインド試飲をして、シャンパーニュ勢を打ち負かしてトップに立ったのがJシュラム2005で、3位がリザーヴ2005だった。クリュッグは2位、4位はなぜかベルエポック2004。クリスタル2005は6位で、ドン・ペリニヨン2004は最終の7位だった。
小樽発酵は日本で過大評価されている節がある。世界的には傾向が違うのだが、クリュッグ的なスタイルのシュラムスバーグが高得点を得たのは想像がつく。クリスタルの評価が低いのは、ヴェルズネイのピノ・ノワールのミネラル感を生かした造りが、若いときは理解しにくいからだろう。きわめて硬い。シャンパーニュをブラインドで評価するのは、スティルワインよりむずかしい。
ともあれ、ナパヴァレーで、スパークリングワインの真打に目覚めた貴重な機会ではあった。現地価格はいずれも110ドルで、シャンパーニュのプレスティージュより安い。品質は同じ土俵に立っているからお買い得だ。ラベルより、中身で買う人にお勧め。
(2014年9月8日 カリフォルニア・ナパヴァレーで)
シュラムスバーグ リザーヴ2005
月に一度は飲みたい度:94点
シュラムグバーグ J・シュラム2006
月に一度は飲みたい度:92点
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