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EUのワインラベル規制の変更により、2024年に生産やラベル表示されるワインに、栄養情報や原材料の記載が義務付けられる。ラベルに表示するか、QRコードを通じてウェブサイトにアクセスできるようにしてもいい。
EUの消費者向け食品情報の規制では、食品とノンアルコール飲料は、栄養情報やアレルゲン、原産地などの記載が義務付けられている。アルコールは対象外だったが、健康やアルコールの過剰摂取などの問題で規制が変更になった。
2023年12月8日以降に、EU加盟27か国内で販売される輸入ワインを含むすべてのワインがこの規制の対象になる。PDOやPGIなどの地理的表示、アルコール度、出所、生産者、販売者の名称、スパークリングワインの糖度、アレルギーを起こす抗原、不耐症物質、清澄の使用原料などの表示が求められる。カロリー、脂肪、炭水化物、糖類などの栄養情報も求められる。
情報の表示方法がQRコードかラベル表示かはワイン造りに左右されるだろう。添加物を多く使用するワイン生産者はラベルにすべてを表示できず、QRコードになる可能性がある。オーガニックやビオディナミのワインはQRコードを使用する必要はない。
今回の規制は消費者のトレイサビリティへの関心の高まりを反映している。量は多くないだろうがEUへ輸出する日本のワイン業者や生産者にも影響が出るだろう。
EU域内の生産者だけでなく、ヨーロッパへ輸出する米国やオーストラリアの生産者には、パッケージングのハードルが高くなる。
米国では財務省アルコール類・タバコ税・貿易管理局(TTB)が「すべてのビール、ワイン、蒸留酒に標準化されたアルコール含有量、カロリー、アレルゲンの表示を義務付ける」方針を示しているが、タイムラインは明確ではない。産地の州によって原材料の要件が異なる事情もある。
米国の消費者はワインに含まれる添加物に対する関心は高いが、規制が追いついていない、例えば、色調を濃厚にする濃縮ブドウ果汁のメガパープルの添加は「見ざる、聞かざる、言わざる」領域となっている。リッジのようにすべての成分をラベルに記載するのは依然として稀有な存在だ。
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