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昨年11月に亡くなった「リカーショップ愛」創業者の安井康一さんのお別れの会が11月に、帝国ホテル東京で開かれた。
安井さんは昨年11月に亡くなったことが今年4月にわかった。交流の深かったワイン業界の関係者から「偲ぶ催しをしたい」という声が上がり、安井さんを愛する有志が1周忌にあたる11月に「お別れの会」を開いた。
会にはレストラン経営者、ソムリエ、インポーターら156人が出席、2時間半にわたり故人の思い出を語り合った。
安井さんは1948年生まれ。輸入洋酒問屋、酒店を経て、1988年に飲食店に輸入ワインを卸す業務用ワイン販売店「リカーショップ愛」を設立した。東京都内にフレンチ・レストランやワインバーが増え始めた時代背景に乗って、テイスティングによって厳選したワインを売り込んだ。
1980-1990年代は現在と違って、生産者や産地の情報が十分ではなかった時代だった。安井さんは社員やインポーターの営業マンらを交えたブラインド・テイスティングによって、良質なワインを選び、ワインリストを料飲店に送付した。リストに掲載されるとワインの売り上げが伸びた。
その目利き力と試飲コメントが信頼され、インポーターと料飲店をつなぐ存在として、ワイン業界の根幹を支える存在だった。日本のワイン業界を発展させた原動力の1人といっても過言ではない。
ワインの仕入先にはファインズ、ラック・コーポレーション、ヴァンパッシオン、エノテカなどの大手から小規模なインポーターまで含まれ、販売先は現在の星付きレストランから街場のワインバーまで幅広かった。
2013年に64歳で代表取締役を退任した。リカーショップ愛は2022年に酒類・食品卸売業の「日本酒類販売」が発行済株式の100%を取得した。
ワインと純粋に向き合う方だった。印象に残っているのは、生産者とのミーティングで、わかったつもりでいるようなことをゼロから質問する真摯な姿勢だった。あれは後進を指導する狙いもあったのかもしれない。そうした学びの態度から多くを吸収させていただいた。
見込みのあるソムリエやレストランを発掘し、それが料飲業界を発展させたとも、インポーターの方々から聞いた。偉ぶることなく、大局的な見地からワインを見つめ続けた方だった。
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