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フランス政府は苦境にあるワイン生産者を支援するため、2億ユーロを投入して余剰ワインを廃棄する。
ウクライナ侵攻に関連して、世界的に食料と燃料の価格が上昇している。インフレ、生活費の上昇、パンデミック後の生活スタイルの変化などで、ワインの需要は減少している。
そのため、フランスの主要なワイン産地は、苦境に立たされている。とりわけ、ボルドーの生産者の最大3人に1人が過剰生産、価格の急落、生産コストの上昇などで財政難に陥っている。
EUは6月に今年のワイン消費量はイタリアで7%、スペインで10%、フランスで15%、ドイツで22%、ポルトガルで34%減少したという推定値を発表した。支援を求める嘆願に応えて、ワイン業界への緊急支援を決めた。
EUはワイン廃棄のために1億6000万ユーロの基金を設立し、フランス政府はこれに資金を追加して2億ユーロを確保することを8月末に発表した。廃棄される量はオリンピックサイズのプール100個以上にのぼる。
資金は主にボルドーとラングドックに投入される。廃棄されたワインは蒸留して純粋なアルコールにして、手指の消毒液、洗浄製品、香水などに使用される。
ワイン消費の減少は今に始まった話ではない。フランス国民が年間136Lを飲んでいた1926年をピークにして、消費量は減少の一途をたどっている。2021年のOIV発表によると、1人あたりのワイン消費量は46.9Lとなっている。
世界最大のワイン消費国の米国でも、ワイン消費は減少傾向にある。8月中旬に発表された米国人の飲酒習慣に関するギャラップ社の最新世論調査では、アメリカ人が最も好まないアルコール飲料はワインで29%。ビール(37%)、蒸留酒(31%)に次ぐことがわかった。
フランスのマルク・フェスノー農相は「消費の変化に適応し、明日の需要に合わせて生産を調整し、新たな収入源を見つける必要がある」と述べている。
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