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イタリア・トスカーナのキアンティ・クラッシコ地区の老舗カステッロ・ディ・フォンテルートリの24代目当主フィリッポ・マッツェイ氏が来日し、サンジョヴェーゼとメルロをブレンドしたスーパータスカン「シエピ」の20周年を記念した垂直試飲会を開いた。
フォンテルートリはマッツェイ家が1435年に取得した。キアンティ・クラッシコのフォーミュラを作ったリカーゾリ家と並ぶ名門。カベルネ・ソーヴィニヨンとサンジョヴェーゼをブレンドしたコンツェルトを1980年代に発売し、シエピは1992年がデビュー・ヴィンテージとなる。サンジョヴェーゼとメルロが半々。実験を重ねて、この比率に落ち着いた。
メルロを大幅に使ったワインとしては、カステッロ・ディ・アマのラッパリータに続く。1990年代には国際品種を使ったスーパータスカンが次々と登場したが、流行に乗っただけのものは淘汰された。シエピはテロワールのワインだったから、生き残った。
「80年代初頭にメルロを、キアンティ・クラッシコの補助品種として植えた。標高250メートルの粘土が深い斜面はメルロに向いていた。サンジョヴェーゼは36種のクローンを栽培して、区画とクローンの相性をリサーチした。サンジョヴェーゼのきれいな酸とエレガンス、メルロのまろやかさのブレンドを表現したかった。国際品種を使うことについては論争もあるが、我々のワインはキアンティのテロワールを表現するという哲学に基づいている」
シエピは「ミスター・サンジョヴェーゼ」と呼ばれるカルロ・フェッリーニの代表作だ。トスカーナのコンサルタントは、フランコ・ベルナベイ、リカルド・コタレッラらがいるが、フェッリーニはキアンティのテロワールを熟知している。キアンティ・クラッシコ協会の技術部長から、1972年にコンサルタントになり、シエピを手掛けた。
そのデビュー作1992はフレッシュな酸があり、サワーチェリー、ローズマリー、バルサミコの香り。冷涼なヴィンテージの緊張感が表れている。タンニンの抽出は、現在の水準からするとやや粗いが、エレガントなスタイルに仕上がっている。1997は偉大なヴィンテージ。堅固な骨組みと重厚なタンニンがあり、凝縮した果実はいまだ健在。レッドチェリーのコンフィ、ブラックチョコレート、ベーコンの脂、タバコ。タンニンはスムーズで、統合されている。さらに5年は待ちたい。1997は早くから楽しめたが、長期熟成能力も備える。
2004はスミレ、甘草、キルシュ、コーヒー。タンニンはつぎめのないスムーズさに磨きがかかった一方で、抽出はやや強くなった。甘さを伴うオークのニュアンスは溶け込んでいる。モダンな国際的スタイルに寄った造り。力強さを求めた時代の空気を吸収している。2012はブライトな酸があり、現時点ではオークが強いが、抽出は優しくなり、フレッシュ感が増した。アプリコットのジャム、セージ、黒オリーブのタップナード。スモーキーで、塩気のあるミネラル感が余韻に残る。フィネスとエレガンスという原点に回帰しつつある。
2012はサンジョヴェーゼの熟成に大樽を導入した。2004は新樽比率も高く、凝縮度に傾いたパワースタイルの時代。試行錯誤の初期から、力強さを求めた次代を経て、エレガンスに回帰するまで、トスカーナの20年間の歴史がよくわかる試飲だった。
2016年2月3日 東京・八重洲のシャングリラ東京で
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 1992
87点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 1997
93点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 2004
92点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 2012
91点
参考価格: 1万2500円
輸入元:ファインズ
フォンテルートリはマッツェイ家が1435年に取得した。キアンティ・クラッシコのフォーミュラを作ったリカーゾリ家と並ぶ名門。カベルネ・ソーヴィニヨンとサンジョヴェーゼをブレンドしたコンツェルトを1980年代に発売し、シエピは1992年がデビュー・ヴィンテージとなる。サンジョヴェーゼとメルロが半々。実験を重ねて、この比率に落ち着いた。
メルロを大幅に使ったワインとしては、カステッロ・ディ・アマのラッパリータに続く。1990年代には国際品種を使ったスーパータスカンが次々と登場したが、流行に乗っただけのものは淘汰された。シエピはテロワールのワインだったから、生き残った。
「80年代初頭にメルロを、キアンティ・クラッシコの補助品種として植えた。標高250メートルの粘土が深い斜面はメルロに向いていた。サンジョヴェーゼは36種のクローンを栽培して、区画とクローンの相性をリサーチした。サンジョヴェーゼのきれいな酸とエレガンス、メルロのまろやかさのブレンドを表現したかった。国際品種を使うことについては論争もあるが、我々のワインはキアンティのテロワールを表現するという哲学に基づいている」
シエピは「ミスター・サンジョヴェーゼ」と呼ばれるカルロ・フェッリーニの代表作だ。トスカーナのコンサルタントは、フランコ・ベルナベイ、リカルド・コタレッラらがいるが、フェッリーニはキアンティのテロワールを熟知している。キアンティ・クラッシコ協会の技術部長から、1972年にコンサルタントになり、シエピを手掛けた。
そのデビュー作1992はフレッシュな酸があり、サワーチェリー、ローズマリー、バルサミコの香り。冷涼なヴィンテージの緊張感が表れている。タンニンの抽出は、現在の水準からするとやや粗いが、エレガントなスタイルに仕上がっている。1997は偉大なヴィンテージ。堅固な骨組みと重厚なタンニンがあり、凝縮した果実はいまだ健在。レッドチェリーのコンフィ、ブラックチョコレート、ベーコンの脂、タバコ。タンニンはスムーズで、統合されている。さらに5年は待ちたい。1997は早くから楽しめたが、長期熟成能力も備える。
2004はスミレ、甘草、キルシュ、コーヒー。タンニンはつぎめのないスムーズさに磨きがかかった一方で、抽出はやや強くなった。甘さを伴うオークのニュアンスは溶け込んでいる。モダンな国際的スタイルに寄った造り。力強さを求めた時代の空気を吸収している。2012はブライトな酸があり、現時点ではオークが強いが、抽出は優しくなり、フレッシュ感が増した。アプリコットのジャム、セージ、黒オリーブのタップナード。スモーキーで、塩気のあるミネラル感が余韻に残る。フィネスとエレガンスという原点に回帰しつつある。
2012はサンジョヴェーゼの熟成に大樽を導入した。2004は新樽比率も高く、凝縮度に傾いたパワースタイルの時代。試行錯誤の初期から、力強さを求めた次代を経て、エレガンスに回帰するまで、トスカーナの20年間の歴史がよくわかる試飲だった。
2016年2月3日 東京・八重洲のシャングリラ東京で
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 1992
87点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 1997
93点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 2004
92点
カステッロ・ディ・フォンテルートリ シエピ 2012
91点
参考価格: 1万2500円
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