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全房でエレガントに進化、メオ・カミュゼのヴォーヌ・ロマネ・クロ・パラントゥ

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 メオ・カミュゼはアンリ・ジャイエの「弟子」とみられがちだが、忠実な弟子とは違う。1989年にパリからヴォーヌ・ロマネ村にやってきたジャン・ニコラ・メオがジャイエのコンサルタントを受けていたのは1998年まで。ジャン・ニコラは90年代半ばから、抽出の強いスタイルに移行した。

 ジャイエの信条だった除梗についても、近年は変化がみられる。2004年を手始めに、2009年、2010年と全房発酵にトライしてきた。2011年以降は、ニュイ・サン・ジョルジュ・オー・ブドー、エシェゾー、ヴォーヌ・ロマネ・クロ・パラントゥで15%の全房発酵を含めている。フローラルな要素を加えて、長さを補うためという。
 現在のドメーヌのワインは、1990~2000年代とうって代わって、柔らかい抽出で、純粋な果実味を表現するエレガントなタイプになっている。そこに、全房発酵の複雑なタッチを加えている。「ワインは喜びの飲み物」というジャイエの教えをベースに、独自のスタイルを完成させた感がある。

 その本領が味わえるのはグランクリュだ。すべての2014を樽から試飲したが、隣り合う畑のヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュのオー・ブリュレ、クロ・パラントゥ、グランクリュのリシュブールのトリオで、現在の好調ぶりがよく理解できた。0.73ヘクタールの2区画を所有するブリュレは、ラズベリー、砕いたザクロ、フレッシュな酸とビロードのタンニン、濃密な果実がある。ゴージャス。グランクリュに匹敵するポテンシャルがある。メオ・カミュゼこそが、オー・ブリュレの基準を作った生産者といっていいだろう。
 ジャイエが開拓したクロ・パラントゥはわずか0.3ヘクタール。横に広がるスケールと、縦に伸びる長さがある。ラズベリー、ダークチェリーが入りまじり、濡れた小石。全房に由来するほのかなスパイシーさと熟した果実、しなやかなタンニン、きれいな酸がバランスよく統合され、多面的な表情を持つ。余韻は長い。これもグランクリュの品質。収穫は9月16日から。リシュブールより4日遅い。涼しいタッチがエレガンスを生んでいる。
 リシュブールは体躯のしっかりした、エネルギーの満ちたワイン。果実の力とエキスの深みが充実していて、巨大な骨組みに支えられている。きわめてなめらかな質感。タンニンは量が多いが、きめ細かく、10年以上の熟成を約束している。10年以上前のガチガチに硬いリシュブールのスタイルを思い出せば、大きな進歩がある。抽出はしなやかだ。収量はヘクタール当たり38ヘクトリットル。
 アシスタント・ワインメーカーによると、2014は熟したフェノールと酸があるいいヴィンテージ。2015は2005と2009の中間をいく、熟度と低いPHに恵まれたという。

2015年11月3日 ヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・メオ・カミュゼで

メオ・カミュゼ ヴォーヌ・ロマネ・オー・ブリュレ 2014 
93~95点
メオ・カミュゼ ヴォーヌ・ロマネ・クロ・パラントゥ 2014 
94~96点
メオ・カミュゼ リシュブール 2014 
95~97点

輸入元:エノテカ

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