世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. ガラスボトルがボトルネック、資材の値上がりが深刻なワイン産業

ガラスボトルがボトルネック、資材の値上がりが深刻なワイン産業

  • FREE

 ワイン生産に不可欠な資材の値上がりが深刻な問題となっている。


 Vitisphereによると、ロワール・エ・シェール農業会議所が昨年4月、サントル・ロワール・ヴァレーのワイン生産者とロワール・エ・シェールの流通業者2社を対象に調査を行った。ボトルの価格は25-50%、箱は20-31%、ラベルは20-34%、キャップシールは11-20%、畑で使う木の柱は5-15%、亜鉛メッキの柱は42-52%、針金は20-93%上昇している。さらに、ディーゼルや機器も値上がりしている。


 今年5月、マーケティング・コストを除くと、生産コストはバルクで販売する場合は1リットルあたり10%、ボトルで販売する場合は13%増加している。長期的な存続に不可欠な利益率を含めると、平均収量55 hl/haをベースにした場合、平均16%の値上がりとなる。


 価格を3-5%値上げして利益率を下げるか、15-20%値上げするしかないが、消費者の反応が懸念される。あらゆる食料が上がっている中で、小麦のような主食ではないワインの値上げはためらわれる。


 資材の値上がりは、エネルギー・コストの上昇と結びついている。ガラスボトルの製造は、天然ガスに依存している。ロシアの軍事侵攻に伴って起きたエネルギー危機で、ヨーロッパの天然ガスの価格はここ10年間で十数倍に上がっている。


 世界的なサプライチェーンの停滞により、輸送コストの上昇もある。大手ワイナリーが将来を見越して大量の発注をするため、品不足の問題も生じている。


 5月に訪問したヴォーヌ・ロマネのドメーヌ・ジョルジュ・ミュニュレ・ジブールで、マリー・クリスティーヌ・ミュニュレは「まもなく2020ヴィンテージを瓶詰めするのだけど、まだボトルが届かない。祈るしかないわ」と深刻な表情で話していた。


 ボトル不足はまさにワイン業界のボトルネックとなっている。ワイン・エンスージアストによると、ロゼや白ワインに使われる透明ボトルは特に供給不足で、グリーンボトルに詰めざるを得ない例もあるという。

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP