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最小クロのチョーキーな個性、ヴーヴ・フルニのクロ・フォブール・ノートル・ダム

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 クロを名乗るシャンパーニュは20銘柄以上ある。少しずつ増えているようだ。巧みなマーケティングとテロワールを表現する流れに乗っている。コート・デ・ブランのほぼ南端ヴェルテュのヴーヴ・フルニ&フィスにも1つある。ブラン・ド・ブランの「キュヴェ・デュ・クロ・フォブール・ノートル・ダム」である。

 ヴーヴ・フルニは5世代にわたる家族経営の栽培農家だった。当主アルベールがA・フルニの名で詰めていたが、1950年代に亡くなり、未亡人が引き継ぎ、ヴーヴ・A・フルニに名前を変えた。孫のエマニュエルとシャルル・アンリの兄弟が加わりて、ヴーヴ・フルニ&フィスとなった。ここもまた、未亡人(ヴーヴ)の伝統を引き継いでいる。79年、レコルタンからネゴシアンに変わった。
 ヴェルテュにはラルマンディエ・ベルティエ、パスカル・ドケら優れた小規模生産者がいるが、フルニもその仲間入りをしている。93年に加わったエマニュエルが、細かなチューニングを行ってきた。樽を導入し、一部をノンマロにし、ドザージュを減らした。

 ヴェルテュはコート・デ・ブラン地区に入るが、斜面の向きも土壌も多様性に富む。シャルドネだけでなく、粘土の多い土壌ではピノ・ノワールも栽培されている。だが、ワイナリーを取り囲むクロ・フォブール・ノートル・ダムは純粋なチョークだ。表土は30-40センチと薄い。0.25ヘクタール。クロの中では最小だという。

 白い花、カモミーユ、スモーク、突き刺すような酸と硬質なミネラル感、集中力があるが、テクスチャーはまろやかで、クリーミィ。古木がもたらす凝縮感、垂直的に伸びるボリューム感がある。ブルゴーニュの中古樽による醸造とバトナージュが、豊かさと複雑さをもたらしているが、チョーキーな酒質なので、重さはない。ドザージュはリットル当たり3グラム。
 クロの畑をのぞむテラスで試飲すると、目の前に広がる畑のバイブレーションを感じる。コート・デ・ブランの畑は基本的に東向きだが、ここだけは南向き。ユニークな個性を瓶に詰めている。

 マーケティング担当のシャルル・アンリは「93年に始めた。母がかねてから、この畑は別に醸造すべきと考えていた。クロに囲まれているため、温度が上がり、熟度が高い。20年は熟成できる」
 わずか1800本の、焦点を絞りこんだテロワールのシャンパーニュだ。

2016年6月17日 シャンパーニュ・ヴェルテュのヴーヴ・フルニ&フィスで

シャンパーニュ ヴーヴ・フルニ&フィス キュヴェ・デュ・クロ・フォブール・ノートル・ダム
94点
輸入元:山信商事

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