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ニュージーランドで、2020ヴィンテージの収穫が始まった。新型コロナウイルスは世界のワイン産地に様々な影響を与えたが、ニュージーランドは、国際的な需要の高さに対して生産量が追いつかないのが悩みの種だ。2020年の収穫量が大幅に増加することが期待されている。
2021ヴィンテージの品質は優れていたが、2020年の収穫量は37万トンで、2020年から19%減少した。にもかかわらず、国際市場でのニュージーランドワインの需要は衰えをみせない。ワイナリーは市場での地位を守るため、在庫の削減を余儀なくされた。2021年のニュージーランドワインの販売量は3億2400万リットル。これは2021年に実際に生産された量よりも4800万リットル多い。
世界の需要に応える生産量の増大に期待
ニュージーランドワイン協会のフィリップ・グレーガンCEOは「2022年に大規模な収穫を行い、セラーに補充し、国際的な需要を満たす必要がある。過去12か月間、多くのニュージーランド・ワイナリーは、主要な市場で誰にワインを供給するかという厳しい決断に迫られている。枯渇している在庫に大きな負担がかかっている」と語った。
ただ、世界の生産国と同様に、ニュージーランドのワイン産業もいくつかの課題を背負っている。国境が閉鎖されているため、熟練の労働者が確保できない。いくつかの地域では労働力不足に直面している。サプライチェーンの緊張がもたらす貿易危機によって、輸送コストは2倍以上となった。こちらは世界的な課題だ。
グレーガンCEOは希望を失っていない。「この2年間、ワイナリーと生産者は、新型コロナウイルスの脅威を管理し、労働者やニュージーランド人を保護するため、プロセスを適応させられることを証明した。私たちは楽観的なアプローチと互いに助け合うことで乗り切れると信じてい」と語った。
サステイナブルとプレミアム
輸出収入が10年間で倍増
長い目で見れば、ニュージーランドほど右肩上がりの成長を続けている生産国はない。輸出収入を10年間で20億NZドルに倍増させるという目標を設定し、2020年に21億NZドルを達成した。
ブドウ畑の96%以上がサステイナブル・ワイン・グローイング・ニュージーランド(Sustainable Winegrowing New Zealand)の認証を受けている。ブドウ畑の面積は2020年、過去最高の4万323haに増加し、過去10年で14%の増加となった。
ブドウ畑の面積はマールボロが圧倒的に多く70.3%。ホークスベイ(11.5%)、セントラルオタゴ(5%)、ノースカンタベリー(3.7%)、ギズボーン(2.9%)、ワイララパ(2.7%)、(2.7%)と続く。
品種別で見ると、全国のブドウ畑の面積の63%をソーヴィニヨン・ブランが占め、次いでピノ・ノワール(14.3%)、シャルドネ(7.9%)、ピノ・グリ(6.9%)、メルロ(2.7%)となっている。
国際市場のニュジーランドワインに対する信頼は、オーガニック、プレミアムなど様々な要因が考えられるが、マスター・オブ・ワインが16人も存在して、ワイン産業を牽引している点も見逃せない。
世界知るマスター・オブ・ワインが牽引
31か国に419人のマスター・オブ・ワインがいる。最も多いのは英国ベースの209人で、米国の57人がこれに続く。フランスは18人、オーストラリアは28人で、ニュージーランドは規模からすれば多い。
ニュージーランド初のマスター・オブ・ワインは、1989年に資格を取得したマイケル・ブラコヴィッチMW。北島クメウ地区のクメウ・リヴァーのワインメーカーを務める。マスター・オブ・ワインのワインメーカーの強みは、栽培・醸造だけでなく、マーケティングにも通じている点にある。世界のワインを知り、最新情報をアップデートし、トレンドを作り出す。
クメウ・リヴァーのシャルドネが、ロンドンで開かれたブラインド・テイスティングで、何度もブルゴーニュのトップ・ドメーヌを負かしているのは、世界の中心地で造られるシャルドネの手法やテロワールを理解しているからだ。
2021年にマスター・オブ・ワインとなったソフィー・パーカー・トムソンMWは、夫とともにマールボロで優れたピノ・ノワールやソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、グリューナー・ヴェルトリーナーなどを生産している。
ピノ・ノワールには全房発酵を導入し、シャルドネには適度の新樽を使ってトースティなタッチを与えている。世界市場のトレンドにぴったりと合うワイン醸造なのだ。それらのワインを、マスター・オブ・ワイン資格を有する評論家が高い点をつけている。
世界のワイン産業とつながっているマスター・オブ・ワインの存在も、ニュージーランドが短期間で高品質なワイン産地に躍り出た理由の1つだ。
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