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ナパの歴史的な家族ワイナリー、シェーファー・ヴィンヤーズが韓国の「新世界」へ売却

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 カルトワインのヒルサイド・セレクトで知られるシェーファー・ヴィンヤーズが、韓国の新世界グループの「Shinsegae Property」(新世界プロパティ)に売却された。

 

 シェーファー・ヴィンヤードは、ジョン&ベティ・シェーファー夫妻が1972年にナパヴァレーのスタッグス・リープ・ディストリクトに土地を購入して創業した。ジョンはシカゴで出版企業の重役だった。自らトラクターを運転し、スタッグス・リープの火山岩の斜面に畑を開拓し、ワイン造りを独学で習得した。

 

 1978年に最初のカベルネ・ソーヴィニヨン・ヒルサイド・セレクトを造った。当時としては珍しい丘陵地の14区画から造られたカベルネ100%のワインはロバート・パーカーから評価され、1990年代に入って人気を集めた。2001、2002、2007、2010、2012、2016年の6ヴィンテージがパーカーポイント100点を獲得した。

 

 ジョンは1989年にAVAに認められたスタッグス・リープ・ディストリクトの基礎を築いた。1983年に息子のダグがワイナリーに参画し、1994年にプレジデントに就任。UCディヴイスで学んだヒスパニック系のワインメーカー、イライアス・フェルナンデスとともに、ワイナリーを発展させた。ジョンは2019年、94歳で亡くなった。

 

 ダグとフェルナンデスは当面、ワイナリーにとどまる予定。  新世界は韓国の大手デパート「新世界」を中心とするグループ企業。ホテル、ゴルフリゾート、スーパー、ショッピングセンター、リカーなど幅広いビジネスを展開している。新世界プロパティは米国の子会社。買収価格は公開されていないが、2億5000万ドルとサンフランシスコ・クロニクル紙が報じている。

 

 韓国はアジア3番目のワイン市場。70%の関税がかけられるワインはぜいたく品だが、富裕層から一般の消費者に広がっている。2020年のワイン輸入額は過去最高を記録した。市場調査会社「ワイン・インテリジェンス」が発表した「グローバル・コンパス 2020」で、韓国は米国に次いで「最も魅力的なワイン市場」に選ばれた。

 

   ナパヴァレーでは1960年代に、ハイツ、ロバート・モンダヴィなど有名な家族ワイナリーが創業。1970年に入ってからも、シェーファー、ケイマス、スタッグス・リープ・ワイン・セラーズ、ジョセフ・フェルプスなどの家族ワイナリーが設立され、1976年のパリ・テイスティングを経て世界的なワイン産地に発展した。

 

 21世紀に入ってからは、ナパの歴史を築いた家族ワイナリーのオーナーが世代交替の時期を迎えた。後継者や経営などの問題によって、国際的なワイン企業や大手資本に買収されるケースが増えている。

 

 新世界の買収理由は公表されていないが、名門ワイナリー・ブランドをポートフォリオに加えることが企業価値を高めるのは間違いない。ナパのワイン観光の人気は高まっており、ワイナリー訪問と高級ホテルやレストラン、ゴルフ場を組み合わせたワイン観光分野に乗り出すことも予想される。

ジョンとダグ・シェーファー

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