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英米では高級ウイスキーやバーボンの空き瓶に安いスピリッツを詰めて高値で売る偽造事件が問題になっている。NYタイムズやドリンクス・ビジネスが報じている。
NYタイムズは6日、ケンッキーにあるバッファロー・トレース蒸留所で生産されるバーボン「Col. E.H. Taylor Four Grain」が、マンハッタンのワインショップ「アッカー」で1000ドルで販売していたボトルが、偽物だったケースを報じた。
このボトルはコルクの上に貼られる帯状スタンプが裏向きになっていた。通常の顧客は気づかないが、テレビのニュース番組『インサイド・エディション』のプロデューサーが購入し、生産者のバッファロー・トレース蒸留所に持ちこんだ。化学分析を依頼して、偽物とわかった。安いウイスキーを入れて密封し直し、個人のコレクションとしてアッカーに売られたものだった。
店側はコレクションから数本を引き揚げ、販売済みボトルについては返金を申し出たという。だが、数週間後、『インサイド・エディション』が報道し、愛好家から醸造所にクレームが入るなど波紋を巻き起こした。
米国では50ドル以上のバーボンやライ・ウイスキーなど「スーパープレミアム・アメリカン・ウイスキー」がブームで、国内販売量は2016年から2020年にかけて400万ケースにほぼ倍増した。500ドル以上で販売される超高級品は、酒屋に長蛇の列ができ、SNSを通じて活発な二次市場が形成されている。
eBayで空き瓶が高価で取り引き
一方、世界最大級のネットオークション「eBay」には高級ウイスキーやバートンの空き瓶が出品されている。高値で落札されて、安いスピリッツに詰め替えて売られているケースを、ドリンクス・ビジネスが報じた。
バーボンのPappy Van Winkle(パピー・ヴァン・ウィンクル)、Old Fitzgerald(オールド・フィッツジェラルド)、スコッチのMacallan(マッカラン)など高級ウイスキーの空き瓶が、1本380ドルもの値を付けて売られている。
『インサイド・エディション』の情報提供者は「そのボトルは詰め替えれば2,000ドルをはるかに超える値段で売れる」と証言している。
偽造ボトルの生産者は、空き瓶をオンラインで購入したり、ホテルやバーのリサイクルボックスから持ち出す。密封機、瓶詰め機、レーザープリンター、ガム顔料、ギフトボックス、ラベル、ボトルキャップなど様々な機器をそろえている。
詰めた偽物の液体の色を変えるために食用色素が使われ、箱には本物そっくりのコードが刻印されるという。バーボンやスコッチの蒸留所は、簡単なパッケージングを使っており、偽造は比較的簡単になっている。
ニュー・オーリンズに本社を置くサゼラックのマーク・ブラウンCEOは、eBay、Facebookなどが偽造蒸留酒の機会を広げていると非難している。
日本でも、近年のロマネ・コンティなど高級ワインの偽造は、正規輸入元の空き瓶を使ったボトルが主流になっており、ラベルを見ただけでは判別しにくくなっている。
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