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カタルーニャのピノ・ノワール、自然派エスコーダの挑戦

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 スペインには可能性のある産地や品種が眠っている。カタルーニア州のコンカ・デ・バルベラもそうした産地の一つだ。ペネデスとプリオラートの中間にある。産地の名前は知らなくても、スペインを代表する生産者ミゲル・トーレスのフラッグシップ赤のグラン・ムリャーリェスやシャルドネのミルマンダはこのDOから生まれていると聞くと、思い当たる節もあるだろう。地中海性気候でありながら、内陸の標高の高い畑は冷涼だ。

 ボルドー系、カバ系、ガルナッチャなどの品種に加えて、ピノ・ノワールに挑んでいるのが、ホアン・ラモン・エスコーダだ。バイオダイナミックスを採用し、ニコラ・ジョリー、マルク・アンジェリら仏ロワールの自然派生産者とも交流している。スペイン自然ワイン生産者協会(PVN)のメンバーでもある。
 鳥の名をつけた「ラ・ヨポテラ ピノ・ノーワル」の2011と2013を試飲した。2011はラズベリー、野ばら、生ハーブ、ミント。全房発酵のニュアンスがあり、スパイシーで、ほのかにグリーン・ペッパー。うまみのある味わいで、フレッシュな酸と果実があるが、余韻にはドライなタンニンが残る。個別の要素はしっかりとあるが、それらを統合して生まれるハーモニーにやや欠ける。

 自然派ワインに共通するナチュラルな質感は好感が持てる。亜硫酸は添加していない。600メートル以上の標高の高さからくる冷涼感をきちんと表現した抑制のきいたスタイル。地中海性気候の影響が強いカタルーニャとは思えないアルコール度の低さ(13.5%)と緊張感をたたえている。熱心な畑仕事はうかがえるから、醸造の細部を詰めることで発展するだろう。タンニンの抽出がポイントになるだろう。
 2013は還元が強めだが、石灰岩土壌に由来する硬質なミネラル感と、青さを残す果実が際立っている。のどごしは軽く、するりと体に染み込む。2011のように時間を置くことで、開いてくるだろう。フランスの自然派生産者も10年前はこのように還元の強いスタイルだった。スペインでも、暑さを逃れて標高の高い畑で造るピノ・ノワールへの挑戦が続いている。温暖化が進む中で興味深い試みだ。今後の発展を見守りたい。

2016年1月19日 広島・福山で
エスコーダ コンカ・デ・バルベラ ラ・ヨポテラ ピノ・ノワール 2011
86点
希望小売価格: 5400円
エスコーダ コンカ・デ・バルベラ ラ・ヨポテラ ピノ・ノワール 2013
84点
希望小売価格:6372円
輸入元:ザ・ヴァイン

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