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DRC連想させるシルキータッチ、コカール・ロワゾン・フルーロのエシェゾー

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 ジャスパー・モリスMWはさすがに歩く「ブルゴーニュ大全」だった。「フラジェ・エシェゾーで面白いドメーヌを訪ねたが、名前を思いだせない……」と話したら、「可能性は3つある」と、すぐに正解に行きついた。

 その名はコカール・ロワゾン・フルーロ。ヴォーヌ・ロマネとヴージョの境目から国道974号を横切り、国鉄の下をくぐり抜けたフラジェ・エシェゾーの中心にある。9ヘクタールしかないのに、6つのグランクリュを持っている。グラン・エシェゾー、エシェゾー、クロ・ヴージョ、シャルム・シャンベルタン、クロ・サン・ドニ、クロ・ド・ラ・ロッシュ。モレ・サン・ドニのコカール家と、フラジェ・エシェゾーのロワゾン家の結婚によって誕生した。

 2015年11月にサンプルで持ち帰った「エシェゾー 2013」をようやく開けた。当たり前だが、樽から試飲した2014より完成されている。ドメーヌでは、クロ・ヴージョ、シャルム・シャンベルタンの後に試飲した。樹齢が60年を超す。プライリエールとアン・オルヴォーの計1.33ヘクタールから造られる。


 困難な2013の赤だが、無理せずに冷涼感を表現している。フローラルで、ラズベリー、サワーチェリー、ほのかにマッチをすった香り。茎っぽいが、果実は優しく抽出されている。タンニンはシルキーで、30%の新樽ときれいに統合されている。中古樽は有名ドメーヌから買う。一言で言えばピュアでセクシー。余韻にミネラリーでスパイシーなタッチが絡み、紅茶の葉の香りが残る。
 37ヘクタールあるエシェゾーは多様なテロワールがあるが、プライリエールとアン・オルヴォーのクリマは表土が薄い。岩を砕いたようなミネラル感に支配されている。プライリエールの大半はDRCが所有している。抑制されたひそやかなタッチは、大げさでなく、オフヴィンテージの抑制されたDRCを連想させる。ドミニク・ローランらに売り、ドメーヌ物は個人客主体だったため、輸出市場で知名度は低い。心躍る発見だった。

 全房発酵比率は30%。古典的なスタイルのエシェゾーだ。ここはシルヴァン・カティアールのセバスチャン・カティアールに紹介された。若きセバスチャンと醸造責任者のトーマス・コカールは仲がよくて、一緒に勉強し合っているという。除梗派のカティアールと流儀は異なるが、エキスがきれいに出たピュアなスタイルは共通している。後を引くうまみが残る。現地で飲んだクロ・サン・ドニとクロ・ド・ラ・ロッシュはさらによかった。プルミエクリュより下の若い樹の畑はパッとしなかったが、古木とグランクリュを持つドメーヌの将来性は大きい。今から探しておいた方がいい注目株だ。
 こんな造り手を知っているジャスパー。ブルゴーニュのすべての路地を知り尽くしているに違いない。

2016年2月17日 自宅で
ドメーヌ・コカール・ロワゾン・フルーロ エシェゾー 2014
91+点
輸入元:エノテカ、イズミ・トレーディング

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