世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. ジャイエから本質を学んだジャン・ニコラ・メオ、うまみ全開のヴォーヌ・ロマネ・レ・ショーム2000

ジャイエから本質を学んだジャン・ニコラ・メオ、うまみ全開のヴォーヌ・ロマネ・レ・ショーム2000

  • FREE

 ヴォーヌ・ロマネのプルミエクリュでお買い得を探すなら、レ・ショームはその1つだろう。ラヴァル博士が2級に格付けしたせいか、価格は比較的リーズナブル。色々な造り手を飲んだが、ジャン・ニコラ・メオ率いるメオ・カミュゼが安定している。総面積6.46haの約3割にあたる2.01haを所有する。熟成した2000ヴィンテージは予想外に良かった。


 ニュイ・サン・ジョルジュと接するヴォーヌ・ロマネの最も南のプルミエクリュとなる。左手の斜面はマルコンソールを経てニュイ・サン・ジョルジュに連なり、右手の斜面はラ・ターシュへと伸びる。ニュイ・サン・ジョルジュと似た厚めの表土が広がり、やや厳格なストラクチャーとなる。


 アンリ・ジャイエの”弟子”は山ほどいるが、収穫を1シーズンか2シーズン、手伝っただけの造り手も少なくない。それでも、ジャン・マリー・フーリエ、ジム・クレンデネン、オリヴィエ・バーンスタインら優れた造り手は、技術を超えた思考様式やワインとの向き合い方を吸収し、ワイン造りに昇華している。


 クレンデネンは「ジャン・ニコラもエマニエル・ルジェも、容赦なくワインを批判されていた。セラーでは厳しい人だった。よいブドウが得られれば、バケツでもいいワインが出来ることを学んだ」と語っていた。


 フーリエは「ワイン造りは何をするにも明確な理由があり、それに基づいて決定するということを学んだ」と語る。


 1990年代、ファックスで約束を取り付けて初めてメオ・カミュゼを訪問した際、ジャン・ニコラは語った。「ワインは天からの授かりもの。喜びを与えてくれる飲み物だと、アンリから教わった」。些末な手法ではなく、ワインという農作物の本質を身につけたのだ。


技術ではなくワイン造りの本質を学ぶ


 ドメーヌ・メオ・カミュゼを1989年に継承したジャン・ニコラは、小作人だったジャイエから、引退後に多くのアドバイスを受けた。コンサルタントを受けていたのは1998年まで。ジャイエの親族のエマニエル・ルジェと並ぶ直系の生徒だ。


 ただ、彼は忠実な弟子ではない。初期は抽出が強かった。2011年以降は部分的に全房発酵も取り入れている。1980年代に教えを請うたエティエンヌ・グリヴォーも、年によって果梗を使う。ワインが天からの授かりものである以上、気候変動に合わせて造りを変えるのは当然のことだろう。


 ドメーヌ・メオ・カミュゼがヴォーヌ・ロマネに所有する3つのプルミエクリュのうち残り2つは、ブリュレとクロ・パラントゥ。高価なグランクリュを除いて、メオ・カミュゼに入門するにはレ・ショームが最適と言えよう。1950年代と1970年代に植えた樹をブレンドしている。
 

 2000年は忘れ去られたヴィンテージだが、悪いヴィンテージではない。9月は暑くて、乾燥した。柔らかくて、今が飲み頃だ。年の初めに飲んだクロ・ド・ヴージョ2000より好感を持った。


 「ドメーヌ・メオ・カミュゼ ヴォーヌ・ロマネ プルミエクリュ・レ・ショーム 2000」(Domaine Meo-Camuzet Vosne-Romanee 1er cru Les Chaumes 2000)は茶色を帯びたエッジ、ダークラズベリー、オレンジの皮、腐葉土、キノコだしのようなうまみが乗っていて、滋味深さがじわじわと広がる。まろやかなテクスチャー、ジューシーで、甘やかさとほろ苦みの入り交じる味わいが長く続く。熟成のピークにあり、アロマも味わいも全開。平均的なヴィンテージでも、飲んでみないとわからないものだ。92点。


 レ・ショームでほかに安定しているドメーヌは、コンント・リジェ・ベレールとジャン・グリヴォがいる。2人ともジャイエから多くを学んでいる。

若きジャン・ニコラ・メオとアンリ・ジャイエ (C)Domaine Meo-Camuzet
3人の子がいるジャン・ニコラ・メオ
ドメーヌ・メオ・カミュゼの畑 (C)Domaine Meo-Camuzet
ヴォーヌ・ロマネの中心にあるドメーヌ
ドメーヌの壁にあるエティエンヌ・カミュゼの歴史を語る銘板

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP