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進化続ける超タスカン、オルネッライア2013

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 ボルゲリから多くのスーパータスカンが生まれた。着実に進化を続けているのは、テヌータ・デッル・オルネッライアだけではないか。ほかの生産者は気まぐれなイタリア気質を残すが、オルネッライアは国際的だ。醸造も、ワイナリー運営も、マーケティングも。わかりやすく言えば、ボルドーのトップシャトーと変わらない。

 カリフォルニアワインの父アンドレ・チェリチェフ、世界のミシェル・ロランらトップコンサルタントを雇い、ワインメーカーもシャトー・パルメに移ったトーマス・デュリュー、ボルドー出身の現アクセル・ハインツと一流の人材をそろえてきた。CEOのジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤの下で、設備投資も怠りなく、グローバルなブランド力を増した。ボルドーの1級シャトーと同じく、細部にこだわる戦略をとってきた。
 最新の2013年ヴィンテージもすきがない。「レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア 2013」は中心の黒みが強い色調から、抽出された果実とタンニンの多さがうかがえるが、乱暴なところはない。きめ細かいタンニン、ジューシーで、シルキーなテクスチャー。ブラックチェリー、スモーク、ユーカリ、凝縮されているのに、余韻に高揚感があり、もう1杯と飲みたくなる。カベルネ・ソーヴィニヨン36%、メルロ32%、カベルネ・フラン20%、プティ・ヴェルド12%。しやなかで快活なのはメルロとカベルネ・フランの多さからくる。
 優良年のシャトー・ラトゥールやマルゴーのセカンドは、格付けシャトーのグランヴァンをしのぐ。それと同じく、高い品格と品質がある。ただのセカンドワインではない。今はオルネッライアの樽を選別して造っているが、アクセルは将来、固有の区画から「レ・セッレ・ヌオーヴェ」を造る計画を持っている。ラス・カーズとクロ・デュ・マルキが異なる区画から仕込んで、別々のワインになったように、セカンドワインを超えていくだろう。区画別の醸造をつき詰めていくと、それが当然の帰結となる。

 「オルネッライア 2013」は凝縮度、深み、スケールの大きさが一回り違う。全体像が見えない巨大な塔だ。レッドチェリーのジャム、甘草、タバコ、強大なグリップ、しなやかなタンニンと豊かな果実が継ぎ目なく統合されている。フレッシュ感があるのは、収穫期が涼しかったせいだろう。余韻にほのかにミントとガリーグ。アルコール度は14%。「レ・セッレ・ヌオーヴェ」でも十分においしいが、こちらは別格。重さがなく、エレガント。自制心がなければ、すぐに1本を飲みほしてしまいそうだ。カベルネ・ソーヴィニヨン45%、メルロ38%、カベルネ・フラン10%、プティ・ヴェルド7%。
 11年目に入るアクセルのワイン造りはさらに正確さが増した。トスカーナの枠組みを超えた、飲むたびに発見があるワイナリーだ。

2016年7月26日 自宅で

テヌータ・デッル・オルネッライア レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア 2013
91点
希望小売価格:7500円(2012)
テヌータ・デッル・オルネッライア オルネッライア 2013
95点
希望小売価格:2万2000円(2012)
輸入元:日本リカー

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