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北海道ケルナーの可能性、自然派のタキザワワイナリー

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 梅雨のない北海道のワイン産地としての可能性は、世界の専門家が評価している。ジャンシス・ロビンソンとジュリア・ハーディングMWの「ワイン・グレープス」も、ケルナーから「驚くほどよいワイン」が出来ると指摘している。それをタキザワワイナリーのワインで実感した。

 大橋健一MWと出かけた恵比寿の和食屋さんで飲んだ。「タキザワワイナリー ケルナー 2013」は透明感のある酸、新緑、青リンゴ、レモンドロップ、リースリング的で、はつらつとしているが、かすかなフェノールのニュアンスが、品種の特性を物語る。リンゴ酸が豊富で、石清水のようにピュア。野生酵母で発酵させ、マロラクティック発酵も自然の乳酸菌で行っている。亜硫酸も少ない。
 北海道の気候を考えると、苦労もあるだろう。それでも余分な介入を避けている。いじった感じがない。自然派ワインと言っていい。化粧っ気はなく、スルスルと体に染み込む。世界のワインを極めた自然派ワインの専門家が「日本で最高のケルナー」だというのは納得できた。

 リースリングとトロリンガーを交配させたケルナーの、ドイツの栽培面積は約2800ヘクタール。リースリングの8分の1にすぎず、白ブドウでは6番目。広くはないが、フランケン、ヴュルテンベルグ、フランケンなどに名高い生産者がいる。日本の栽培面積は北海道が中心で、50ヘクタール以上と見られ、イタリアやスイスをしのぐ。イタリアのアルト・アディジェにはマンフレート・ネッスィングという、トレ・ビッキエーリのケルナーの造り手がいる。札幌の北緯43度という緯度と冷涼さを考えれば、ドイツ品種の可能性は大きい。
 タキザワワイナリーは、2013年にワイナリーが完成したばかり。代表の滝沢信生さんは、クラウド・ファンディングを導入してワイン造りを進めている。気候と地勢を考えると、世界的な見地から見ても、将来に期待がかかる。

2016年7月30日 東京・恵比寿の「黒帯」で

タキザワワイナリー ケルナー 2013
88点
希望小売価格:2600円(2015)
発売元:タキザワワイナリー

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