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驚くべきラス・カーズのサードワイン、テール・デュ・リオン2001

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 ボルドーワインの選別の重要性は言うまでもない。グランヴァンの質を高めるには、セカンドワインやサードワインを詰める必要がある。とはいえ、自社畑のブドウのみでサードワインを詰めている例は少ない。1級でもラトゥールとマルゴーだけだろう。
 そう考えると、2級なのにサードワインを詰めている「シャトー・レオヴィル・ラス・カーズ」が、どれだけ品質にこだわっているかわかる。「グランヴァン・ド・レオヴィル・デュ・マルキ・ド・ラス・カーズ」には「ル・プティ・リオン・デュ・マルキ・ド・ラス・カーズ」というセカンドがあり、そのサードに「ル・テール・デュ・リオン」が存在する。ジャン・ユベール・ドゥロンの選別にかける執念の表れを思い知らされる。

 ドゥロンが、グランヴァンのラス・カーズのセカンドとして、ル・プティ・リオン・デュ・マルキ・ド・ラス・カーズの生産を始めたのは2007年ヴィンテージから。これに伴って、かつてはラス・カーズのセカンドと見なされていた「クロ・デュ・マルキ」はラス・カーズから独立したラインとなった。2015年から、これのセカンド「ラ・プティット・マルキーズ・デュ・クロ・デュ・クロ・デュ・マルキ」が生産され、両者の区別はより鮮明になった。ラス・カーズはD2東側のクロ・レオヴィル・ラス・カーズの区画から生まれ、クロ・デュ・マルキはD2西側のプティ・クロから産する。土壌も異なり、内陸部のクロ・デュ・マルキの方がメルロが多い。
 持ち株会社ドメーヌ・デュロン傘下のポタンサック、ネナンもそれぞれ、セカンドワインを生産している。ポタンサックはメドックACにすぎない。ドゥロンのワイン造りには妥協がない。

 1年前に購入した「ル・テール・デュ・リオン 2001」を開けた。堂々たるサン・ジュリアンのワインだった。力強い香りは格付けシャトーのグランヴァンでも通用する。黒すぐり、鉛筆の削りかす、甘草、回しているうちに腐葉土、ナメシ革と目まぐるしく発展する。期待して口に含むと、味わいは香りとのギャップがある。ジューシーで、タンニンはなめらかだが、ストラクチャーがややゆるい。余韻にミンティなニュアンス。
 ただ、香りのプロファイルはラス・カーズと似通っている。ブラインドでも間違えないだろう。ラトゥールに近接するサン・ジュリアン最良のテロワールの力強さと重厚感が明快に伝わってくる。凝縮度と複雑性が足りないのは、樹の若さゆえだろう。2001のラス・カーズは2000より開くのが早くて、使いでがある。もっと評価すべきヴィンテージだ。このサードワインは今がピークだが、さらに数年は発展するだろう。ドゥロンの造るワインの底力を痛感した。
 2015プリムールでは、ラトゥールのサードワイン「ポイヤック」の完成度の高さに驚かされた。ル・テール・デュ・リオンにも、ラトゥールに通じる品格がある。
 
2016年8月2日 自宅で

ル・テール・デュ・リオン 2001
88+点
購入価格:楽天市場で2700円

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