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今月末に予定されていたボルドー・プリムール2019が延期される。主催者のユニオン・デ・グラン・クリュ・ド・ボルドー(UGCB)が13日に発表した。
UGCBのロナン・ラボルド会長は、「UGCBとそのメンバーは、3月末にボルドーで予定されていた2019ヴィンテージのプリムール・ウイークを一時中止する決断をした。当面は政府の勧告を実施する」と発表した。
「別の機会に2019ヴィンテージの試飲ができる解決策を探そうとしている。できるだけ早く詳細な情報を提供する」とし、「参加を計画していたネゴシアン、バイヤー、ジャーナリスト、熱心な愛好家らワイン産業のプロに感謝する」としている。
最新ヴィンテージの先物取り引きを行うプリムール試飲会は、格付けシャトー主体で構成されるUGCBが毎年春に主催している。プリムールの慣習は1970年代に始まり、80年代に定着した。中止されるのは初めて。
UGCBは4日、3月30-4月2日の2019ヴィンテージのプリムール試飲会を予定通り行うと発表していた。だが、フランス国内での新型コロナウイスルの感染症拡大に伴って、マクロン大統領は100人規模の集会の禁止を求めていた。さらに12日、保育園から大学までの全国一斉休校と在宅勤務や旅行の自粛の要請を発表した。
プリムール試飲会は、トレードやメディア向けの大規模な試飲会がボルドー市内のイベント会場で行われる一方で、各シャトーが訪問してくるバイヤーやジャーナリストに最新ヴィンテージの樽サンプルを提供する。市内会場の試飲会は大勢の来場者があり、混み合う。各シャトーにも世界中のバイヤーやジャーナリストが訪れて、情報交換し、旧交を温める。昨年は7000人を超すプロが事前登録した。
期間中は、フランス国内のカヴィスト、レストラン経営者はもちろん、英国や米国のワイン商、中国のバイヤーらでにぎわい、シャトーでのランチやディナーも各所で行われる。試飲会では、ワインを吐き出す際の飛沫が広がり、握手や近距離で会話する機会も多い。参加者の健康の確保が極めて難しい。米国がヨーロッパ26か国からの外国人の入国拒否を発表したのも影響していると見られる。
シャトー・パルメは12日夕方に「小規模なシャトーのため、シャトーの従業員、ゲスト、長年のビジネスパートナーの健康と安全を完全に保証できない」として、訪問予定者に日程の延期を連絡するメールを、送付してきた。
ボルドーのワイン産業には、前年の秋に収穫したブドウから造るワインの樽サンプルをプリムール試飲会で供して、バイヤーやジャーナリストの評価を得て、先物で販売するビジネス手法が定着している。プリムールの延期によって、キャッシュを早めに回収することが不可能になり、大きな打撃を受けるのは間違いない。さらに、既存の日程をぬってリスケジュールするのは容易ではない。
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