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2019年のシャンパーニュ出荷量は約2億9750万本となり、3億本を割り込む見通しだ。リーマンショック後の2009年の2億9300万本に続く低い数字となった。2018年と同様にフランス国内向け出荷が落ち込んだ。
シャンパーニュ委員会によると、2019年の出荷量は前年比で1.6%減少した。輸出量は1億5590万本で0.8%増加した。前年に続いて、輸出の割合が52%を占めて、国内向け出荷を上回った。フランス市場は1億4150万本で4%の減少となった。EU市場は1%増と増加に転じた。
シャンパーニュの出荷量は2004年以降、3億本台を維持し、2007年には3億3800万本でピークに達した。リーマンショックの翌年の2009年には2億9300万本に落ち込んだが、その後は持ち直していた。シュンパーニュ消費を牽引してきたのは伝統的にフランス市場で、国内のシェアが2000年代初頭は約6割を占めていた。2017年には国内向けと輸出向けがほぼ同数となり、2018年に史上初めて逆転した。
フランス国内消費の減少は、2018年も2019年も最大の消費時期である年末に起きた出来事の影響を受けた。2018年は黄色いベスト運動で流通が封鎖された。2019年も、年金改革反対ストによって交通網の混乱が引き起こされた。だが、より基本的な要因は、スーパーマーケットでの落ち込みと見られる。
フランスでは、2019年1月に、スーパーでの食品の値引きを制限する法「EGalim Act」が施行された。食品やワイン生産者のサステイナブルな発展を狙った法だが、値引きを35%以下に制限し、「1つ購入して1つ無料」という売り方が禁止された。
このため、消費者が大量に購入する低価格帯のシャンパーニュの販売が落ち込んだというのが、シャンパーニュ業界のもっぱらの見方だ。シャンパーニュ委員会のティボー・ル・マイヨ広報部長は昨年、「消費量を左右するスーパーのお手頃なワインが影響を受けている。消費者はたくさん飲むよりも、高価なシャンパーニュを少し飲む方向にシフトしている」と語った。実際、フランス市場の売上高は50億ユーロで2%増となる見込みだ。
そうしたフランス国内の状況を埋め合わせているのが輸出市場の発展だ。米国は既に輸出額で英国を上回るトップ市場となっている。日本は2018年に量・金額ともに3位の輸出市場。昨年10月に来日したシャンパーニュ委員会のヴァンサン・ペラン事務局長は「日本向けの2019年の輸出は量も金額も増加傾向にある」と話していた。国別のデータは3月中旬に発表される予定。
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