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シャルル・ラフィットのロゼ、熟成の妙味

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 熟成したシャンパンには発見がある。

 20ドルという価格に引かれて購入したが、正直、大した期待はなかった。ちなみに、シャルル・ラフィットというボルドーワインは、中国の見本市でよくみる。シャトー・ラフィットの偽者である。偽者というにはお粗末だが。

 このボトル、1年半前に購入したのだが、配送依頼を忘れていて、倉庫でほこりをかぶっていた。実際送られてきたときはほこりだらけだった。デゴルジュマンから最低でも2年はたっているだろう。

 シャンパーニュは出荷されたらすぐ飲め。昔から言われてきたが、これはウソだ。多くの造り手が熟成させてから飲むように、と言っている。ルイ・ロデレールのクリスタルは、早めのリリースで知られる。既に2006ヴィンテージが市場に出ている。

 醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨンは最低でも、10年は置いて欲しいと話していた。正直言えば20年かもしれない。私が飲んだ1985年はまだ若々しかったから。ボルドーと同じく、熟成させるのは所有者の仕事という考えに基づいている。

 デゴルジュマン後に熟成させると、ローストされたナッツやコーヒーのような香りをまとう。ロゼの場合はそこにタンニンが加わるから、赤ワイン的な熟成の様相も呈する。熟成したピノ・ノワールに甘いタッチが加わるのと同じ効果が得られるのだ。

 色はさめた赤胴色になっていて、美しいという感じはないのだが、溶け込んだタンニンと泡のきめ細かさが掛け算となって、ほのかな甘みすら感じさせる。おそらくドザージュはリットル当たり10グラム前後はあっただろう。イチゴをかけたムースのような心地よさと香りがあった。これは熟成を経ないと得られない味わいだ。

 ただのノンヴィンテージ・ロゼでこれだけ複雑に進化するのなら、もっと品質の高いロゼなら、さらに面白い結果が期待できそうだ。もっとも、安いロゼが変身するところに意味があるのだが。問題は、そんなことを考えながら、手近にあると開けずにいられないこと。寝かせるのが難しい。心が弱いから。

(2014年2月 自宅で)
シャンパーニュ シャルル・ラフィット ブリュット・ロゼ NV
購入:米西海岸のショップ 20ドル
週に一度は飲みたい度:90点

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