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懐かしきアルヌー、世代交代思い知る

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 ブルゴーニュの世代交代の勢いはすさまじい。

 世代交代でワイン造りは変わる。ヴォーヌ・ロマネのアルヌー・ラショーは典型例だ。息子シャルルが2012年ヴィンテージからすべての醸造を担当している。12年の健全なブドウを見て、シャルルが考えたのは全房発酵。実験的にやってみるかと思ったら、父のパスカル・ラショーが好きなようにやっていいと。比率を飛躍的に高めた。薬剤師から転じた婿養子で、ロベール・アルヌーの評価を高めた人だけに、寛容だったようだ。

 ドメーヌでの2012のタンクからの試飲は、ドメーヌのスタイルが180度変換したことを示していた。パスカル・ラショー時代は100%除梗にこだわっていたから。だが、そのワインはピノ・ファンのブルゴーニュからロマネ・サン・ヴィヴァンまで成功していた。エレガンスとフィネスにあふれていた。25歳の息子に任せたお父さんも偉い。

 そんなことを思い出しながら、ロベール・アルヌーのニュイ・サン・ジョルジュ2002を開けた。このころはまだアルヌー・ラショーに名前を変更していない。変更は2008から。ロベール・アルヌーのままのラベルに、パスカル・ラショーの署名が入っている。2002は2012と似たヴィンテージと言われ、酸と濃厚さの両方を備える。方向性は似ているが、パスカル時代は抽出が強い。ニュイの土臭い個性と相まって、まだまだ置いてから飲みたいヴィンテージだった。

 もちろん、悪いワインではない。タンニンはなめらか。熟成香も出ている。10年前に飲んでいたら、リーズナブルだと感動していただろう。今でも十分にリーズナブルだが。お父さんには悪いが、息子のワインの方が私にはしっくりくる。ヴィンテージを超えて。ここはヴォーヌ・ロマネ村でも数少ない直売をしているドメーヌで1980年代ものから現地で購入してきた。思い入れもある。

 世代交代によって進化するとはこういうことなのだろう。

(2014年2月 自宅で)
ドメーヌ・ロベール・アルヌー ニュイ・サン・ジョルジュ 2002
購入:米西海岸のショップ 30ドル
月に一度は飲みたい度:88点

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