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サッポロ・グランポレールが自社畑を拡大、注目集まる北海道南部

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  サッポロビールは14日、国産プレミアムワイン、グランポレールの新たな自社畑「北海道北斗ヴィンヤード」の植樹式を行った。北海道は昨年10月、GI(地理的表示)の指定を受けたが、中でも今回の畑のある道南の函館周辺は、ポテンシャルの高い産地として国内外から注目が集まっている。


 北斗ヴィンヤードは、函館中心部から車で40分の北斗市にある。トラピスト修道院の所有するかつての放牧地約25.4haを借りて、昨年からブドウ畑への転換を進めてきた。津軽海峡に面し、ゆるやかな傾斜地から海が見える。1年目は2.3haにメルロとシャルドネを植えて、2年目はソーヴィニヨン・ブランとシラーを植える。2022年に最初のヴィンテージを発売する予定で、最終的な生産量は1万ケースを見込んでいる。


 グランポレールは日本海に面した余市町で、協働契約栽培畑からピノ・ノワールやミュラートゥルガウを生産するなど、早くから北海道の可能性に目をつけてきた。農家の高齢化や後継者不足から、ブドウの安定的な確保のためには自社畑の拡大が必要と考えている。グランポレールの産地は、長野・池田町、山梨・勝沼、岡山、北海道の4つがあるが、将来はこの北斗ヴィンヤードを主軸に据える考えだ。


 日本のワイン産地は雨量の多さに悩まされるが、北海道は梅雨と台風の影響を受けにくく、収穫期の雨が少ないのが強み。函館周辺は津軽海峡を流れる暖流の影響で比較的温暖だ。北斗ヴィンヤードは南東向き斜面。水はけのための排水パイプを埋めた。石交じりの黒い火山性土壌。近所にはカルト的な人気を誇る自然派生産者「農楽蔵」の畑もある。北斗市の年降水量は1159ミリだが、秋の降水量は少なめ。年平均気温は8.3度、年日照時間は1574時間。余市町とほぼ同等だが、9-11月の気温は北斗市の方が高く、降雪も遅いため、成熟期間が長く取れる。


 栽培責任者の野田雅章さんは「生育期の雨が少なく、気温が低いので酸が保てる。寒暖差も大きい。土壌の条件にも恵まれ、一定の栽培面積を確保できる。北斗市の全面的な支援を得られ、サッポロビールの創業の地である北海道とのつながりが深く、ブランド価値を打ち出せる」と狙いを語る。


 植樹式には、函館市内で栽培とワイナリー開設を計画しているエティエンヌ・ド・モンティーユと、近所に畑のある農楽蔵の佐々木賢さんも出席した。

 

 ブルゴーニュやシャンパーニュなどのビオディナミ生産者で修行した佐々木さんは「雨量が少なく、津軽暖流のおかげで寒すぎない。降雪が遅いので、ほかの北海道の産地のように仕込みで忙しい11月に剪定をする必要がない。剪定を樹液の上がってくる翌年春に伸ばせる利点がある」と北斗市のテロワールを語る。現在はピノ・ノワール、メルロー、シャルドネだけでなく、サヴァニャンやソーヴィニヨン・グリにも挑戦している。


 ブルゴーニュでドメーヌ・ド・モンティーユとシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェを所有するエティエンヌは、年に5、6回は来日し、ワイン造りの準備を進めている。「5年前に友人との試飲で、日本ワインの可能性を知った。調査を行って、函館の可能性を発見し、パイオニア的なプロジェクトを始めようと決意した。シャルドネとピノ・ノワールに焦点を絞る。ブルゴーニュには優れたチームがいるので、日本とフランスを行き来している」と語った。国際的な知名度を誇る彼の挑戦によって、ワイン産地としての北海道が国際的な注目を集めている。

ゆるやかに傾斜する畑。栽培責任者の野田雅章さん
植樹するサッポロビールの高島英也・社長(左から2人目)ら
植樹式に参加し土を掘り起こす俳優の辰巳琢郎さん
石の多い黒い火山性土壌
北海道南部の可能性を語るエティエンヌ・ド・モンティーユと佐々木賢さん
海に近く、背後に山林が広がり畑を拡大できる

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