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世界の美食シーンで、南米はここ10年ほど注目を集めている。2018年の「世界のベストレストラン50」では、ペルーから2軒がベスト10に入っている。
チリのレストランも水準が高い。果物・ナッツ類と魚介類の輸出額はそれぞれ世界3位と4位で、食材に恵まれている。ワイン観光の人気が高まっていて、ブラジルから富裕な観光客が押し寄せている。ワイナリーのレストランでは、伝統料理にモダンなひねりをきかせた料理を出す。食べ手のいるところで美食は発達する。
都市部のサンティアゴ市内にも、洗練されたレストランが多い。高級店の並ぶプロヴィデンシャ地区の予約困難な「99」をディナーで訪れた。2017年のラテンアメリカの「ベストレストラン 50」では14位に入っている。
気温10度を切る屋外で、ストーブと毛布だけで食事した。ヨーロッパでは考えられない状況だが、7月末のサンティアゴは今年一番の冷え込みで、昼間のワイナリーや畑も10度を切っていたから、すっかり慣れた。フンボルト寒流が太平洋を流れるチリは、緯度の高さと相まって、北半球のカリフォルニア北部の真冬よりはるかに寒い。
地元素材の持ち味を生かして、簡素ながら工夫をこらした味付けと調理を施した小皿料理が次々と出てくる。手製のテーブルは、ペンキをラフに塗って、古びたスタイル。手作りの皿はサイズがそれぞれ異なる。ナチュラルでヘルシーな料理とカジュアルな装飾。いまどきのトレンドを踏まえたスタイルだなと思って、後から調べたら、若きシェフのカート・シュミットはやはり、コペンハーゲンの「ノーマ」で修行していた。世界の優れたレストランは、エルブリに端を発するスペイン、ノーマのミニマリズム、日本の会席料理のどれかの影響を受けている。
6皿と9皿のコースがあり、この夜は6皿のコース。1皿目は、アーティチョークにライムを生かしたソースとチリ産黒トリュフを合わせた軽い野菜料理。ライムの酸味と黒トリュフの香り高さが、滋味豊かなアーティチョークをひきたてた。
3皿目は、小魚のペヘレイを揚げてサクサクのパンではさんだサンドイッチ。サワーソースをつけて食べる。魚好きならだれもが好きになる味わいだが、これにはセミヨンのオレンジワインを合わせた。ややフェノリックスの強い味わいだったが、サンドイッチとは相性が良かった。ここではペアリング・コースを選ぶと、ソムリエが、生産者から直接購入する少量生産の自然派ワインを合わせる。チリでもここ5年ほどで自然派ワインが増えていると聞いた。
全房発酵のパイス種に合わせたのは野うさぎのパスタ。ピーマンやニンジンを加えて、大地のエネルギーを小さな更に盛り込んでいる。ラザーニャのようなチリで一般的なパスタを、日常食の野うさぎのソースで和えている。オバアチャンの料理によくあるそうで、現地人は郷愁をおぼえている様子だった。
デザートは、近年によくあるだまし絵のような1品。パプリカに見えるが、赤いアメ細工を壊すと、中からクリームが溢れ出す。
屋内で食べると、シェフが調理している様子がすべて見られる。客席との一体感が楽しい。小さな皿ばかりだが、6皿で十分に満腹してしまう。料理だけで3万8000ペソ、ペアリング込で6万ペソ。約1万円。チリの物価からすれば効果だが、自然派ワインも楽しめて満足感は高い。
フランスワインが世界標準になっているのは、ワインと料理がセットになって、世界の外交儀礼で使われるようになって発展してきたからだ。チリのワインと料理も、輸出が広がる中でさらに進化する可能性はある。フランス料理ようりは、日本人の味覚にあいやすい。
チリのレストランも水準が高い。果物・ナッツ類と魚介類の輸出額はそれぞれ世界3位と4位で、食材に恵まれている。ワイン観光の人気が高まっていて、ブラジルから富裕な観光客が押し寄せている。ワイナリーのレストランでは、伝統料理にモダンなひねりをきかせた料理を出す。食べ手のいるところで美食は発達する。
都市部のサンティアゴ市内にも、洗練されたレストランが多い。高級店の並ぶプロヴィデンシャ地区の予約困難な「99」をディナーで訪れた。2017年のラテンアメリカの「ベストレストラン 50」では14位に入っている。
気温10度を切る屋外で、ストーブと毛布だけで食事した。ヨーロッパでは考えられない状況だが、7月末のサンティアゴは今年一番の冷え込みで、昼間のワイナリーや畑も10度を切っていたから、すっかり慣れた。フンボルト寒流が太平洋を流れるチリは、緯度の高さと相まって、北半球のカリフォルニア北部の真冬よりはるかに寒い。
地元素材の持ち味を生かして、簡素ながら工夫をこらした味付けと調理を施した小皿料理が次々と出てくる。手製のテーブルは、ペンキをラフに塗って、古びたスタイル。手作りの皿はサイズがそれぞれ異なる。ナチュラルでヘルシーな料理とカジュアルな装飾。いまどきのトレンドを踏まえたスタイルだなと思って、後から調べたら、若きシェフのカート・シュミットはやはり、コペンハーゲンの「ノーマ」で修行していた。世界の優れたレストランは、エルブリに端を発するスペイン、ノーマのミニマリズム、日本の会席料理のどれかの影響を受けている。
6皿と9皿のコースがあり、この夜は6皿のコース。1皿目は、アーティチョークにライムを生かしたソースとチリ産黒トリュフを合わせた軽い野菜料理。ライムの酸味と黒トリュフの香り高さが、滋味豊かなアーティチョークをひきたてた。
3皿目は、小魚のペヘレイを揚げてサクサクのパンではさんだサンドイッチ。サワーソースをつけて食べる。魚好きならだれもが好きになる味わいだが、これにはセミヨンのオレンジワインを合わせた。ややフェノリックスの強い味わいだったが、サンドイッチとは相性が良かった。ここではペアリング・コースを選ぶと、ソムリエが、生産者から直接購入する少量生産の自然派ワインを合わせる。チリでもここ5年ほどで自然派ワインが増えていると聞いた。
全房発酵のパイス種に合わせたのは野うさぎのパスタ。ピーマンやニンジンを加えて、大地のエネルギーを小さな更に盛り込んでいる。ラザーニャのようなチリで一般的なパスタを、日常食の野うさぎのソースで和えている。オバアチャンの料理によくあるそうで、現地人は郷愁をおぼえている様子だった。
デザートは、近年によくあるだまし絵のような1品。パプリカに見えるが、赤いアメ細工を壊すと、中からクリームが溢れ出す。
屋内で食べると、シェフが調理している様子がすべて見られる。客席との一体感が楽しい。小さな皿ばかりだが、6皿で十分に満腹してしまう。料理だけで3万8000ペソ、ペアリング込で6万ペソ。約1万円。チリの物価からすれば効果だが、自然派ワインも楽しめて満足感は高い。
フランスワインが世界標準になっているのは、ワインと料理がセットになって、世界の外交儀礼で使われるようになって発展してきたからだ。チリのワインと料理も、輸出が広がる中でさらに進化する可能性はある。フランス料理ようりは、日本人の味覚にあいやすい。
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