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自分をほめたい、ラヴノーのシャブリ2000年

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 10年前の自分をほめたい気分になった。ラヴノーのシャブリ2000を飲んで。畑はプルミエクリュのモンテ・ド・トネール。ラヴノーはやはり世界で最高の白ワイン生産者の1人だ。

 シャブリの需要が高まって、今は高価で品薄のラヴノーだが、10年前は安かった。1本5000円で買えた。それをすぐ飲んでは、石のような硬さをマゾ的に楽しむだけだが、今回はずいぶんと寝かせた。パリのカーヴ・オジェで90年代後半をたくさん買った経験から、最低でも10年は待つ必要があると思ったからだ。

 ブルゴーニュ、シャンパーニュで活躍するクルティエ(仲買人)のKさんとの、情報交換を兼ねた飲み会。こういうときはプロ好みの銘柄に限る。最近、定温倉庫から出してきた箱の1本だ。

 石英が溶け込んだかのごとき液体から、黄色果実の香りがあふれ出した。黄桃やパイナップを連想する。中間から余韻にかけてふくらみが長く持続する。若いころにありがちな硬さや、目の詰まった感じがほぐれ、官能的な飲み物に進化している。人によっては、ルーロのムルソーあたりと間違えるかもしれない。

 ラヴノーではモンテ・ド・トネールを最もよく飲んでいる。グランクリュのブランショ、ヴァルミュール、レ・クロは、数も少ないし、高価だから。この畑はブランショから尾根をへだてたフイエ村にあり、南西を向いている。かなり歩き回ったが、日照の良さと土壌のミネラル感がミックスされて、バランス感がいい。

 グランクリュのトップはレ・クロで決まりだが、モンテ・ド・トネールはプルミエクリュの筆頭の一つに違いない。下手な造り手のレ・クロよりも、ラヴノーのモンテ・ド・トネールは優れている。当たり前だが。

 この日はキンメリジャン土壌つながりで、レ・リセのオリヴィエ・オリオのコトー・ド・シャンプノワ・ブランも一緒に楽しんだ。こちらも若々しいミネラル感の詰まった素晴らしいボトルだった。白ワインだけで満足できる夜などなかなかめぐってこない。

 評論家ステファン・タンザーは、2000年を1996、1990年に匹敵する偉大なヴィンテージと評価している。納得した。

(2013年12月 東京・銀座のワインバー「ミュール」で)
ドメーヌ・フランソワ・ラヴノー シャブリ モンテ・ド・トネール 2000
購入:都内のショップで5000円
月に一度は飲みたい度:94点

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