世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. オリジナル地図と圧倒的な解説、プロも愛好家も必携「イタリアワイン産地ガイド 地図でわかるDOCGとDOC」

オリジナル地図と圧倒的な解説、プロも愛好家も必携「イタリアワイン産地ガイド 地図でわかるDOCGとDOC」

  • FREE

 足で歩いた現地取材に基づく「イタリアワイン産地ガイド 地図でわかるDOCGとDOC」が発刊された。イタリアワインを真剣に学ぶのに欠かせない、プロや愛好家の必携ガイドブックに仕上がっている。


 ワイン産地に分け入る方程式は、地勢と風土や歴史を理解した上で、品種と公式な規定を把握して、ワインを試飲するところから始まる。イタリアワインの苦手な人が多いのは、まず産地が多岐にわたり、地勢が複雑なため、切り口を定めにくい。DOCGとDOCの変更が多いため、フォローしきれない。多彩な土着品種の整理も手間がかかる。


 本書はそうしたハードルを飛び越えるのを助けてくれる。畑の向き、標高、海や山との位置関係などテロワールを構成する要素を、地図を見ながら実感し、アペラシオンの成り立ちまで理解できる作りになっている。


 ヒュー・ジョンソンとジャンシス・ロビンソンの編著による「世界のワイン図鑑」はこうしたガイドブックの先駆だが、ワイン産地が世界に増える中で、主要産地にフォーカスしているため、産地ごとの情報量が限られる。更新にも時間がかかる問題を抱えている。


 今回のイタリアワイン産地ガイドは、著者が長年かけて全土を歩いてきた現地取材に基づいている。圧倒的な情報量と細やかで深い背景。有名産地だけでなく188のDOCGとDOCをカバーしている。96枚のオリジナル地図と分析的な解説、栽培・醸造のデータを統合しながら読み込むことにより、産地の全体像が浮かび上がってくる。


 知名度の高くない産地のワインを試飲する時、地図を眺めながら規定を読めば、味わいの背景にまで想像が広がり、理解が深まる。ソムリエやバイヤーなどのプロは、イタリアワインの広大な海図を整理できる。愛好家は飲みながら知的興奮を深められるに違いない。


 全呼称名、ワイン名、品種名から逆引きでき、辞典的な使い方にも配慮している。


 著者の中川原まゆみさんはイタリアでソムリエ資格を取得し、「土着品種で知るイタリアワイン」など興味深いイタリアワイン本を出版している。取材・執筆の苦労が想像される。ワイン地質学研究家の坂本雄一さんのオリジナル地図96枚も、地勢や気候が思い浮かぶリアリティある労作。


 イタリアワインを試飲するたびに紐解く書となりそうだ。


 出版元はガイアブックス。6300円(税抜き)。

 

AMAZONはこちら

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP