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緊張感富むオーガニック・スパークリング、セントラル・オタゴのクォーツ・リーフ…オーガニック・ワイン・ウイーク

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 ニュージーランドといえば、まずソーヴィニヨン・ブランのイメージが浮かぶ。シャルドネやピノ・ノワールを思い出す人もいるだろう。実は見逃してならないのがスパークリングワインだ。冷涼な気候を生かした優れたスパークリングが見つかる。


 ニュージーランドの主なワイン産地は、南緯36.5度の北島オークランドから、45度の南島セントラル・オタゴに広がっている。北緯で同等の緯度を見ると、36.5度はスペイン南部で、45度はフランスのボルドーとなる。南北に長く伸びていることがわかるだろう。


 大陸性気候のセントラル・オタゴを除けば、大半の産地が海洋性気候で、涼しい海風の影響を受けている。日照と涼しさを求めるソーヴィニヨン・ブランやブルゴーニュ品種に適している。ドゥーツやグローワーのダニエル・ル・ブルンらが、プロジェクトに取り組んできた。

 

トニー・ジョーダン博士も可能性に着目


 オーストラリアのドメーヌ・シャンドンやペロリュスを造るクラウディ・ベイなど新世界で多くのスパークリングワインを立ち上げたトニー・ジョーダン博士は生前、ニュージーランドの可能性を高く評価し、ワイパラ、マールボロ、マーティンボロー、セントラル・オタゴを生産適地として挙げていた。


 ハンターズ、ノーティラス・エステート、No.1ファミリー・エステート、クラウディー・ベイら、マールボロ勢が牽引する中で、セントラル・オタゴのクォーツ・リーフも気をはいている。ニュージーランド初のマスター・オブ・ワインであるマイケル・ブラコビッチMWのクメウ・リヴァーも、2016年から「クレマン」のリリースを始めた。


 クォーツ・リーフはニュージーランド・ワインメーカー・オブ・ザ・イヤーを2度受賞したルーディ・バウアーが、セントラル・オタゴのベンディゴに、ワイナリーを設置した。30haの畑はBiogroからオーガニック認証を得て、2011年にデメターからバイオダイナミックスの認証を受けた。


 シャンパーニュで、オーガニックはもちろん、バイオダイナミックスに取り組む生産者は多くない。2021年に、ビオディナミの認証団体ビオディヴァンの認証を受けている生産者は10軒にすぎない。冷涼で雨がちなため、病気が発生しやすいハンデがある。ブドウの価格を左右するのはクリュの格付けであり、栽培手法はさほど重視されていない。


 LVMHグループのワインズ&スピリッツ部門を担う「モエ・ヘネシー」は2020年2月、シャンパーニュの畑で除草剤を全廃し、サステイナブル農法のリサーチを始める方針を発表した。前向きな取り組みではあるが、オーガニック栽培をしている生産者にとっては当たり前の話である。


日照豊富で石英が埋蔵された土地

 
 オーストラリア人のバウワーは1985年、ニュージーランドに移住。リッポンやギーセンでワインメーカーとして経験を積んだ。最初はマールボロのブドウで仕込んでいたが、かつては金の採掘でにぎわい、ニュージーランド最大の石英が埋蔵されているベンディゴに目をつけた。1998年以降はベンディゴから仕込んでいる。


 ベンディゴはセントラル・オタゴの核となるダンスタン湖の北東岸にある。セントラル・オタゴは、ブドウがよく熟す大陸性気候だが、そこでスパークリングワインが成功したという物語が興味深い。


 「スパークリングワインを造り始めた当初は、バックアップのプランとしてスパークリングワインを造っていました。ピノ・ノワールのイメージ通りに果実が熟さなかったとしても、フレッシュな酸味と早摘みはスパークリングにぴったりだと確信していました。ベンディゴがピノ・ノワールにとって理想的であることが証明されたので、スパークリングは自然な成り行きであると言えます。私たちは技術を磨き、このユニークな土地についての知識を深めています」とバウワーは語る。


 スパークリングは正確な醸造技術の必要なワインだが、小手先でできるわけではない。いいブドウを作るのが重要で、そのためには土地の個性を表現できるオーガニックやバイオダイナミックスが必要となる。トップメゾンのルイ・ロデレールが自社畑のほぼ半分115haでオーガニックの認証を得たように、優れた生産者の視点はオーガニックに向かっている。


 「土地を守り、改善し、最終的には次の世代に引き継ぐのが私の責任です。私たちの農業哲学にはこの責任が反映されています。農場内の土壌や生物多様性に変化が見られるので、このリズムの中で仕事をするのは気分がいいですね。土壌の健康が重要な役割を果たしていると確信しています。土壌が健康であれば、植物も健康になり、ブドウも健康になり、最終的には素晴らしいワインになります。グラスの中では、生き生きとしていて、純粋で、はっきりとした印象を与えてくれます」


 クオーツ・リーフのスパークリングを5年以上前に最初に教えてくれたのは、評論家のボブ・キャンベルMWだった。並みのシャンパーニュをしのぐ純粋さと緊張感があり、ニュージーランドの多様性とオーガニックの可能性を改めて教わった。


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