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ポムロールの指標、傑出したヴュー・シャトー・セルタン2017 (ボルドー・プリムール2017)

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 こじんまりとしたポムロールの村を回るのは楽しい。普段は静かな村もプリムール期間中は、中型以上の立派な車が狭い道を行きかう。この村の心臓部にあるのが、ヴュー・シャトー・セルタンである。ペトリュスは通りを下ったところにあり、そこからラフルールは目の前。畑からはル・パンの目印となる松の樹が見え、レヴァンジルもごく近い。
 ヴュー・シャトー・セルタンの館は、ポムロールでも数少ない「シャトー」が名前に入っていても違和感のない立派な建物である。ペトリュスやラフルールは間違っても、シャトーとは呼べない。相当なプロでも時に、「シャトー・ペトリュス」と呼んでいるが、それは間違いである。所有者も「シャトー」と自称しないし、ラベルにも表示されていない。
 ヴュー・シャトー・セルタンは、ベルギーのネゴシアンだったティエンポン一族の誇りである。1924年に購入したジョルジュ・ティエンポンが力を入れた。ほかのボトルと混じっても目立つように、ピンクのカプセルをかぶせたのも彼だ。ジョルジュの死後、88年から当主アレクサンドルが運営を始め、グリーン・ハーベストや厳密な選果を取り入れ、品質を向上させた。ハンサムで長身の息子ギョームが加わり、世代継承もぬかりない。
 毎年、ここはポムロールの指標となる。メルロ、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培していて、ブレンド比率の違いを見るだけでも、ヴィンテージの状況が予測できる。14haの畑がひとかたまりになっているのは右岸でも珍しい。栽培比率は、メルロ65%、カベルネ・フラン30%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%。深い粘土にメルロが植えられ、粘土と砂利混じりの土壌にカベルネ・フラン、砂利土壌にカベルネ・ソーヴィニヨンが植えられている。
 ポムロールのプラトーの中央に位置し、最も高い地点は標高37mに達する。やはり最高地点に位置するペトリュスと同じく霜害はなかった。2017のブレンド比率はそれぞれ81%、14%、5%。メルロが成功した。「生育の速度が速く、収穫に時間をかけられた。干ばつのおかげで色調が美しく、熟したタンニンを得られた。アカデミックなヴィンテージ」とギョーム。
 「ヴュー・シャトー・セルタン 2017」(Vieux Chateau Certan 2017)は深い深紅、野いちご、ブラックカラント、バラの花芯、力強さを誇示するのではなく、上品なタンニンとキレのよい酸が、正確で、精妙なパレットと美しく調和している。シルキーなテクスチャーで、フレッシュ感が躍動し、丸い石をなめるようなミネラル感に縁どられている。フィニッシュはリニアで、緊張感が持続する。2015の凝縮感、2016の強大さよりは、2014のバランス感を思い出させる。2014から4年連続、傑出した出来が続いている。97点。

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